昨今、ビジネスシーンで『LTV』という指標が重要視されています。
LTVは「顧客生涯価値」と言われ、顧客が生涯もたらす利益のことを指します。新規顧客の獲得コストが高まり安定的な収益確保のために、既存顧客からの利益を最大化するという風潮が高まり重要視されることとなりました。
今後更に注目度が高まるLTVについて基礎知識や計算方法、活用方法を理解することはマーケティングやセールスの場面で必要になってくるでしょう。
合わせて注目された背景や活用するための有効的な方法についても詳細に解説をしていきますので、LTVを知らない方やLTVを高めたい方にとって参考になればと思います。
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LTVとは?
LTVとは、日本語で『顧客生涯価値』と呼ばれる指標のことです。Life Time Valueの頭文字を取ったもので、LTVと呼ばれます。
1人あるいは1社の顧客と取引・購入をスタートしてから終了する(顧客ライフサイクルとも言います)までの期間内でどれだけの利益をもたらすのか、顧客から得られる生涯利益の総額を表します。
よって1度の取引だけを換算するのではなく2度目の取引も含まれるので、取引額ではなく対象の顧客を計算軸とします。
顧客は、企業のブランド・サービス・製品を気に入れば何度でも購入してくれる可能性が高くなります。さらに自社製品のアップグレード、横展開されたシリーズの購入をしてくれるかもしれません。
このようにビジネスの現場では、顧客側が持つ愛着・信頼のことを『顧客ロイヤリティ』と言い、これが高いほどリピート客になる可能性が高いので、企業としては顧客ロイヤリティを向上させることが重要となります。
そのためにも1度の取引という関係性で終わらすのではなく継続的な関係性構築が必要であり、それを測るためにもLTVという指標が必要なのです。
LTVが注目されている背景
ここ数年においてLTVを重要視する企業が増えつつあります。なぜ注目されているのでしょうか。
以下3つのポイントに絞って解説します。
新規顧客獲得のハードルが高まっているから
1980年代後半からのバブル期筆頭に、昔の日本国内では大量生産・大量消費の時代で人口も増加し続けていたため、新規顧客獲得が容易で作れば作るほどモノは売れ企業はその恩恵を受けていました。
しかし、近年では国内の人口は減少方向に折り返し、ITの発達から情報化社会になったことでライフスタイルの変化や購買行動の変化から、モノを生産しても簡単に売れなくなってしまいました。
このような変化した市場では新規顧客獲得に多大なリソースを割り振っても思うように効果が出ず利益が先細りになる可能性が高まりつつあります。
また、新規顧客獲得の困難さを表した『5:1の法則』というものがあり、新規顧客獲得には既存顧客維持の5倍コストが必要と言われております。
このような背景からターゲットを既存顧客へ切り替える企業が増え、LTVが注目されています。
サブスクリプションサービスの台頭
近年、新たなサービスの一つとして『サブスクリプションサービス』が流行しています。NetflixやYoutubeプレミアムなどがその筆頭に挙げられます。
コロナ禍の現代では、支払いの煩雑さがなく自宅にいても簡単に魅力的なコンテンツに触れることが出来るこのサービスは爆発的に利用者が増加しました。
企業側としても継続的な利益の享受はメリットがあり、サブスクリプションモデルの導入を推し進めています。企業としても長期的な契約・継続は利益を大きく左右しますので、LTVの向上は一番の課題となっています。
そうした背景からLTVが注目され、向上を画策する企業が増えたことも要因の1つにあります。
CRMの浸透
CRMは『顧客関係性管理』と言われ、顧客との関係性を保ち自社の価値向上と売上拡大を目指すという考え方になります。
顧客との関係性維持・管理に特化したCRMツールを使用することで、顧客心理の多角的な分析が可能になり、適切なタイミングと適切なプロモーションを行えますので、売上の拡大を支えてくれます。
近年上記のような背景から注目されており、企業ではCRMツールを導入するケースも増えています。このようにCRMが企業に浸透し、LTVが業務におけるKPIになることから注目度が高まっています。
LTVはマーケティング戦略の要
マーケティングでは、LTVは顧客が生涯で自社に落とすと期待できる総利益です。
LTVは、企業の経営判断をする上で、継続的な利益を得られるのかの判断材料として重要視されているため、マーケティングでもLTVの向上は戦略の要となります。
戦略を具体化すると、マーケティングの担当者においての戦略とは、長期間を通じて継続購入を促すということです。
例えば、定期購入型のビジネスモデルでは、顧客が継続的に長期に渡り製品やサービスを利用することで安定的な売り上げが獲得できるのです。
LTVの計算方法
LTVには様々な算出方法があり、商品やサービスによってケースが異なります。
しかし、一般的には以下の計算式によって算出されるのが主となります。
- LTV = 購買単価 ✕ 購買頻度 ✕ 契約継続期間 ✕ 収益率
また、新規顧客獲得コストや既存顧客の管理コストも考慮し、全体を把握するために以下の計算式を用いる場合もあります。
- LTV = 平均購買単価 ✕ 購買頻度 ✕ 契約継続期間 ✕ 収益率 -(新規顧客獲得コスト + 既存顧客管理コスト)
また、計算式の中で収益率を掛けなくとも購買単価を購買利益としダイレクトにLTVを計算する方法もあります。
ここで重要なのが、「一つ一つの要素に分解することでLTV向上の足掛かりにする」ことなので自社が求めやすい要素に分解し、数値を可視化しましょう。
LTVを高める方法
LTVを要素分解すると、基本的には「購買単価」「購買頻度」「契約継続期間」で成り立っていることが分かります。また顧客ロイヤリティの向上もLTVの向上には欠かせません。
ここからはそれぞれの項目を最大化させる方法を解説します。
購入金額を上げる
購買単価を上げる方法は2つあり、「単価を上げる」「アップセル・クロスセルの活用」が有力な方法になります。
単価を上げる
購買単価を上げると聞いて、最初に考えるのが商品・サービスの単価を上げることでしょう。
ただし単純な値上げは顧客離れを引き起こす可能性が高いので注意しましょう。自社の強みが「価格の安さ」であると競合他社に顧客を取られてしまいます。
値上げをする際は、顧客が納得できる理由と自社の強みがどこにあるのかを明確にした上で適切な価格設定を心掛けましょう。
アップセル・クロスセルの活用
アップセルとは、継続的に購入している顧客や購入を検討している顧客に対し、アップグレード版や上位機種への購入を促す方法になります。
注意点としては適切なタイミングを見逃さないということです。買い替えタイミングを狙って顧客に納得感や満足度を訴求しアップセルへと促しましょう。
クロスセルは、購入したタイミングで関連する商品シリーズやサービスもおすすめとして表示させ同時に購入を促す方法です。
Amazon等で、「この商品とよく一緒に購入されている商品」と表示されますが、あれをイメージするとわかりやすいかと思います。ただ必要ないものは購入しないので、顧客心理に寄り添い商品に親和性をもたせるのが大事です。
購入回数を増やす
購入回数を増やすためには、メルマガ・DMなどによる広告配信が有効的です。
商品ライフサイクルを把握し、消耗品切れや買い替えタイミングで自社商品・サービスの有効性を訴求したメール配信から顧客心理にレコメンドしましょう。
SNSを上手に活用すれば、低コストで且つ多くの顧客に情報を届けることが出来るので、費用対効果も大きく有効的な方法です。
契約期間を延長する
契約期間を延長させることもLTV向上に大きく貢献します。
1度取引を行った顧客をそのままにしておくのは機会損失なので、購入をきっかけにして優良顧客へ育成することを検討しましょう。
顧客のニーズを深掘りし、段階的なメールマガジンの配信などで顧客とコミュニケーションを取る、先んじて商品のメリットを伝えるなど顧客を離さない工夫が必要です。
サブスクリプションモデルの企業は決済の煩わしさや魅力的なコンテンツを全面的に打ち出し契約を促すように配信を工夫しましょう。
顧客ロイヤリティを向上する
顧客ロイヤリティの向上はLTVを最大化するにあたり理想的な方法です。顧客ロイヤリティの向上は顧客のファン化と意味は一緒です。
自社商品のファンになれば、リピートして購入してくれるのはもちろんのこと、他社への口コミなどで周りを巻き込んで顧客になる可能性が高いからです。
また欠点なども受けて入れてもらい不具合が発生し不利益を被ってしまった場合もファンとしてアドバイスをくれることもあります。
そのためにも自社ブランドイメージの向上を図り、「ここでしか購入したくない」という価値を高めることに注力しましょう。
顧客獲得コストを下げる
今までは「増やす」ことに注力していましたが、「下げる」ことでLTVを向上させる方法もあります。
例えば、マンパワーを発揮しポスティングしたり、情報を持つキーマンと打ち合わせを何度も交わしたりといった作業は地道で且つ時間も掛かってしまいます。
そこでCRMツールを導入することで、セールス周りの効率化や情報の一元化を図る事で無駄なく業務に集中でき効率化することが出来ます。
また蓄積されたデータを元にマーケティング部門と連携すると大きく成果を生み出すこともありますので、コスト減少以外にもメリットがあります。
LTVの活用方法
LTVが企業にとって重要な指標ということは解説してきましたが、LTVがわかれば他にどんな事がわかるようになるのか見ていきましょう。
LTVを算出することによって、
- ・選択と集中
- ・予算の設定
に活用することが出来ます。
『選択と集中』においては、例えばターゲット層別にLTVを算出したとして、その結果20代と40代の顧客においてLTVが2倍ほど開きがあったとします。その場合、20代を多く取り込むようにリソースを分配するという意思決定が行なえます。
『予算の設定』においては、1人あたりのLTVを算出すれば、1人の顧客を獲得するために掛けて良い広告費がLTVより下回れば利益が出ると言う計算になります。このように予算設定の際にも数値を用い明確な根拠を打ち出すことが出来ます。
LTVを最大化させるためにCRMツールを使おう
これまでLTVを最大化させる方法をご紹介しました。メールマーケティング(メールマガジン、DM)、アップセル、クロスセル等ありますがさらに効率的に行うためにはCRMツールの導入がおすすめです。
いずれの施策にしても顧客心理の深掘りを行い、ニーズを洗い出し顧客一人ひとりに刺さるアプローチをしなければなりません。
CRMツールには豊富な機能があり、以下のような場面において効力を発揮してくれます。
- ・顧客情報のリスト化
- ・顧客セグメントの仕分け
- ・メールマーケティングの自動配信
- ・アクセス数、クリック数などの数値測定
導入費が決して安くないことがデメリットではありますので、業務プロセスを洗い出し効率化可能か検討しましょう。
CRMツールを活用するメリット
ここではCRMツールを活用するメリットについて大きく3つのポイントから解説していきます。
アクションの為には、データの蓄積と分析を効率的に行う必要があり、人為的に行うとミスが発生することもあるでしょう。
ではCRMツールを活用することによって得られるメリットにどういうものがあるのか。具体的に確認していきます。
顧客情報のデータベース化
CRMツールは膨大な顧客情報を一元管理し、多彩な切り口からターゲット層を区別することが容易です。また企業によっては顧客情報を紙ベースで保存されてあったり、個人のPC内に所有されていたりと情報の保存先が一律でない場合があります。
情報のインプットとアウトプットを同一にすると、業務が効率的になることは言うまでもありません。
関係者が同じ目線で同一の粒度で業務を推し進めることが出来るので、チームワークの向上も図ることが出来ます。
ニーズの発掘・トレンド傾向分析
CRMツールは顧客に関する情報を余すことなく蓄積出来ます。
過去の購入実績や内容、取引先との商談ステップ、プロモーション施策の内容と反応などあらゆる情報を確認することが出来ます。CRMツール内のデータを詳細に分析すればするほど顧客がどのような行動をしたのか、ニーズがどこに有るのか課題が見えてくるでしょう。
LTV向上には顧客ロイヤリティの向上が必要です。適切なプロモーションには適切な分析が重要ですので、CRMツールを活用しニーズの精度を高めましょう。
顧客との関係性管理のための機能が豊富
顧客と良好な関係性を結ぶためには、適切なコミュニケーションが必要です。
意図しないタイミングやメッセージ内容だと逆に不信感を与えるきっかけにもなります。また顧客からの問い合わせは素早い対応が必要になります。
CRMツールでは、メールの自動配信機能や問い合わせフォームの設置などが行なえます。またサービスの解約や契約解除のサインを素早く察知することも可能です。
顧客との友好的な関係性の構築のために、CRMツールの活用をおすすめします。
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まとめ
今回はLTVの基礎知識から背景、向上の方法について解説しました。
新規顧客獲得が困難になった今、既存顧客との関係性を重要視し売上拡大を図るためにもLTVはますます大きな指標となるでしょう。そのためにも、CRMツールを導入しセールス、マーケティングの場面において活用してみてはいかがでしょうか。
またLTVという考え方を導入していない企業にとっては、新たな気付きになったかと思います。今一度プロモーションやリソースを見直し、顧客にとって何が最善なのか、自社にとって何が課題なのかを見直すきっかけになれば幸いです。