カスタマージャーニーとは?意味、作成方法を分かりやすく徹底解説!

2022/05/28

顧客の行動・心理を掴むことはマーケティング活動において非常に重要です。
しかし、現代では実店舗での購買からWebサイト、SNSなどインターネットを活用した販売チャネルへと移行しています。その中で、顧客と商品との接点が複雑化し顧客行動の把握が困難になっているのが現状です。

今回は、マーケティングにおいて顧客行動・心理を深掘りし、購買行動全体の把握に役に立つ『カスタマージャーニー』について解説します。
ビジネスシーンで耳にする機会も多くなっているとは思いますが、いまいち意味や作成方法が分からないという方がいるかと思います。
今回の記事を参考に、カスタマージャーニーについて理解し業務の手助けの一部になれたら幸いです。

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カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客が商品を知り、情報収集・検討を経て実際に購入に至るまでのプロセスを旅に表した概念になります。
現代では顧客が複数のチャネルを持ち、購入行動が複雑化しています。またインターネットの発達により得られる情報の量と質が多くなっています。

こうした背景から、顧客の心理を理解し適切なプロモーション施策を打ち出すため、企業の間でカスタマージャーニーが浸透しています。
その際には顧客の「心理」「行動」「商品との接点」などを可視化した『カスタマージャーニーマップ』を作成しマーケティングに活用します。

カスタマージャーニーマップのメリット

それではカスタマージャーニーを作成することによって得られるメリットについて解説しています。

顧客心理の深掘り

顧客が何を考え、どのような行動を取るのかを理解しなければ商品を売ることが出来ません。
アンケートやWebサイト上での行動履歴などから断片的な理解は出来るかもしれませんが、全体としてどのような行動を取るのかといった把握は難しくなります。

カスタマージャーニーマップを作成する過程で必然的に顧客心理を深掘りすることになるので、より顧客に寄り添った商品やプロモーションに活用することが出来ます。

購買行動の可視化

市場が変化していく中で顧客行動は複雑になり、ニーズも多様化しています。マスマーケティングを活用した商品企画ではなく、ターゲットを意識した顧客目線の商品でないと売ることが難しくなっています。

そうした状況において顧客の購買行動の把握は重要になります。購入プロセスを細分化しその中の心理・行動を浮き彫りにしますので一連の購買行動がストーリーとして把握できます。

関係者間の認識の共有

商品企画から販売までにおいて、各部門の関係者が関わり最終的なゴールを目指すのが一般的です。大企業では更に社内外の人間も巻き込みながらプロジェクトを進めていきます。

カスタマージャーニーマップがあると各部門における課題に対する認識のズレを防ぐことができ、情報共有も容易になります。また各部門が共有認識を持つことは意思決定のスピードを早めるかつ精度にも期待できるので、大きなメリットと言えます。

カスタマージャーニーマップの作成方法

それではカスタマージャーニーマップはどのように作成すればよいのか?ステップごとに解説します。

ペルソナの設定

まずはターゲットのペルソナを明確に設定します。ペルソナは『企業が提供する商品にとって最も重要で象徴的なモデル』のことを指します。

ここでは年代、性別、職業、居住地、趣味嗜好、ライフスタイルなど事細かに設定することで、ターゲット像の行動・心理を浮き彫りにすることが出来ます。
またカスタマージャーニーマップのクオリティにも繋がりますので、徹底的に明確にしましょう。

ゴールの設定

ゴールを設定しなければ、多くの時間を掛けても無駄になってしまいます。
商品・サービスにおける最終的な目指す姿はどこにあるのか。購入単価なのか利用率なのかなど目指す姿の設定によって取るプロモーションや施策は変わりますので、このプロジェクトを始めたきっかけと照らしわせて決めましょう。

フレームごとに項目を縦軸に並べる

カスタマージャーニーマップ作成における顧客の情報収集のためのフレームを縦軸に設定します。
一般的には以下の項目が使われます。

○タッチポイント・チャネル
WebサイトなのかSNSなのかなど、顧客が商品と出会う接点のことです。
○行動
買い物に行く、SNSで情報収集するなど顧客が商品に対して取る行動のことです。
○思考・感情
顧客が行動にあたって感じたことのことになります。
○課題
情報がない、Webサイトが読みづらいなど行動し感じたことから得た課題のことを指します。

顧客が取るステップを横軸に並べる

顧客の購買プロセスをステップごとに分け横軸に並べます。
一般的には以下項目を設定します。

○認知・興味関心
顧客が商品を知る、興味を持つタイミングのことを指します。
○情報収集・比較検討
興味を持った商品に対し情報収集し購入するかどうか検討している段階です。
○購入
今回のゴールである、検討した商品を購入した段階になります。
○利用後
使いづらいと感じる友人に周知するなど実際の利用後に想定される顧客の行動を考えます。

顧客行動・心理の洗い出し

ゴール、フレームが設定出来たら顧客行動・心理の洗い出しを行いカスタマージャーニーマップを埋めていきましょう。
思いつくままにブレストなどから洗い出すのもいいですが、市場調査や社内に点在している顧客情報、過去のセミナー・イベントのアンケート、問い合わせなどからデータを拾うのが精度高く有効的です。
足りなければ追加で情報収集するなど出来るだけ解像度を高く納得感のある情報で埋めていくことで後のアクションが適切になります。

施策の提案

顧客行動・心理の洗い出しが出来たら課題を抽出しましょう。
顧客が感じる感情に着目すると抽出しやすいかと思います。それが出来たら抽出した課題に対し施策を検討・提案します。

それぞれのプレームやステップに対応する課題とそれを解決する施策を並べて、カスタマージャーニーマップを完成させましょう。

カスタマージャーニーマップ作成における注意点

カスタマージャーニーマップの作成方法を解説しましたが、作成する上での注意点についても3つのポイントに絞って解説していきます

企業目線を反映させない

作成の際に一番陥ってしまう思考として、「こう感じて欲しい」「このような行動を取るはずだ」という企業側の目線から考えてしまうことです。
それは願望になりますので、真に顧客目線の商品が企画できなくなります。定量的なデータや事実を元に情報を埋めていきましょう。

ディティールにこだわらない

まずはじめに、シンプルに分かっているところからカスタマージャーニーマップを仕上げていくことが大事です。
細かな心情・行動にこだわるのも質の向上としては良いですが、こだわりすぎると時間がいくら合っても足りません。ある程度の期間を定め、その中で完了できるようにしましょう。

分かっていないところは顧客に対する理解が足りないということにもなりますので、理解を深めるための施策に移行するなどアクションに繋げサイクルを回すことが重要です。

バージョンアップする

1度作成したカスタマージャーニーマップは放置していませんでしょうか。
現代は市場の移り変わりや顧客心理の変わるスピードも早くなっています。情報のバージョンアップは定期的に行い、現状に即したカスタマージャーニーマップを維持できるように心掛けましょう。

キャンペーンやイベント毎に顧客のアクションをとるようにし、カスタマージャーニーマップに反映させるなど行動に移す仕組みを作っていると管理しやすいかと思います。

カスタマージャーニーマップのテンプレート

ここで参考としてカスタマージャーニーマップのテンプレートをいくつかご紹介します。

【ペルソナ設定】
まずはペルソナ設定の際に活用出来るテンプレートをご紹介します。
あくまでイメージになりますので、ご参考までにご自身で使いやすいようにして下さい。

画像引用元:SNSカフェ

【カスタマージャーニーマップ(シンプル)】

画像引用元:カスタマージャーニーマップの事例と無料テンプレートまとめ
非常にシンプルなカスタマージャーニーマップとなっており、個人ですぐにでも取り組める気軽さが特徴です。

【カスタマージャーニーマップ(企業規模)】

画像引用元:マーキャリ
より具体的にタッチポイントの記載があり見やすいフレームが並んでおり、顧客の動作・心理が抽出されるようになっています。
BtoBやBtoC企業におけるカスタマージャーニーマップの作成はよりターゲットの確度を高める必要があるので、どのようにして作り込むかが重要になります。
また、引用元からテンプレートのダウンロードが行なえますので是非ご活用下さい。

カスタマージャーニーマップの事例

カスタマージャーニーマップを作成してマーケティングに有効活用した実際の事例をご紹介します。
ご自身の業務と照らし合わせて参考にして下さい。

Airbnb

Airbnbはルームレンタルサービスを提供している企業で、宿泊施設を持っている人と利用したい人を繋ぐプラットフォームを構築しています。
世界192カ国、3万4000都市に賃貸可能な宿泊施設が登録されている非常に大きな顧客を所有しています。

Airbnbがどのようにして競合との優位性を獲得したかは、ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)を徹底的に突き詰めたところにあると言われています。
「従来にはなかった新しい旅の経験」を提供し、異国の文化にふれる機会やお決まりのコースに飽きていた顧客に対し新しい旅の価値を作り出しました。
下記がAirbnbのカスタマージャーニーマップになります。

参照元:impressBUSINESSMEDIA
このようにペルソナを定め、ゴールまでにユーザーが体験する行動・心理を洗い出し、ユーザーが何を求めているのかを突き詰めてエクスペリエンス(体験)に新たな価値を付与した成功事例と言えます。

中部国際空港セントレア

中部国際空港セントレアでは、航空産業だけでなく、特異な場所や立地を活用し利用者数を上げる施策を展開しています。
施策を検討する上でカスタマージャーニーマップを活用し、顧客目線でのコンテンツづくりを目指しました。

こちらの事例では、遊ぶ場所を検討しているカップルをペルソナとし、利用者の行動の把握、ニーズを深掘りしています。
以下が、カスタマージャーニーマップになります。

参照元:NOREN
顧客行動の把握において、実際に空港でインタビューを行い行動を分析。情報収集と分析結果から、埋め合わせをしていき施策を考案しました。
結果、情報掲載サイトの見直しを図り、最高のおもてなしを提供するためのサイトを目指しています。

まとめ

今回の記事では、カスタマージャーニーの意味、作成方法、事例などをご紹介してきました。
顧客行動の複雑化や市場が大きく変化し、顧客体験を向上するUX(ユーザーエクスペリエンス)の観点がマーケティングにおいて必須になっています。

その際には今回ご紹介したカスタマージャーニーマップを活用し、顧客の行動・心理を深く理解するところから始めていきましょう。
また、カスタマージャーニーマップは単に売上を伸ばすためではなく、様々な場面において活用することが出来ますのでこれを機に作成してみるのはいかがでしょうか。

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