広告効果の計測にコンバージョンAPIを導入する企業が増えています。
他のプラットフォームに先駆けて提供を始めたのはFacebookでした。その後、Google、Yahoo!、LINE、Twitter、Pinterestなども続々と提供を開始しています。
こうした動きの背景にあるのが、これまで広告効果の計測を担っていたCookieの衰退です。
世界的にCookieが問題視されたことで、Cookieに代わる計測ツールの必要性が高まりました。
とはいえ「コンバージョンAPIって言葉は聞いたことがあるけど、正直よくわからない」「検討した方が良いの?」「仕組みや導入方法を知りたい!」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そもそもコンバージョンAPIとは何なのかという概要を解説していきますね。
仕組みや導入方法に関してはFacebookを例にお伝えします。
この記事を読めば、コンバージョンAPIの正体や必要性を理解できますよ。
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目次
- コンバージョンAPIとは
- コンバージョンAPIの仕組み
- コンバージョンAPIの必要性
- コンバージョンAPIのメリット
- コンバージョンAPIのデメリット
- 【Facebook】コンバージョンAPIの導入方法
- まとめ
コンバージョンAPIとは
コンバージョンAPIとは、Cookieに依存せずに広告効果を計測する仕組みのことです。
広告効果とは、広告に接触したユーザーによる申し込みや購入などの行動を指します。
なお、何を広告効果とするかは広告の目的によって異なりますよ。
そもそも、なぜ広告効果を計測しなければいけないのかというと、売上を伸ばすにあたって広告の費用対効果を明らかにして運営に活用することが重要だからです。
広告を出したら「どのくらいの人がコンバージョンしているのか」「顧客獲得単価はどのくらいなのか」など、出稿している広告がどのくらいの成果を出しているのか把握しなければいけません。
広告の効果を最大化するためには、広告効果を正しく計測してPDCAを回す必要があります。
広告効果を測る指標について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
コンバージョンAPIの仕組み
コンバージョンAPIは、ブラウザを経由せずに自社サーバーから広告サーバーへ直接データを送信する仕組みです。
これまではCookieのデータを、ブラウザからFacebookなどの広告プラットフォームに送信していました。
なお、Cookieとはユーザーの行動履歴などの情報を記録する仕組みのことです。
コンバージョンAPIはサーバーを介してデータを送信するため、ブラウザの規制を受けません。
コンバージョンAPIの必要性
コンバージョンAPIを導入する企業が増えていますが「なぜCookieのままではいけないの?」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Cookieには以下のような問題があるといわれています。
- 個人情報が漏れる恐れがある
- プライバシーの侵害になる恐れがある
世界各国で個人情報についての法律が制定され、Cookieが衰退しています。
Cookieの利用にユーザーの同意を得なければいけないところもありますよ。
サードパーティーCookieの規制を進める動きを見せるブラウザもあります。
2017年にはSafariがトラッキング防止機能を搭載しており、2024年にはGoogle ChromeもCookieを廃止するようです。
こうしたCookieの規制によって、計測精度が低下するといわれています。
広告配信への影響が大きいため、できるだけ早くコンバージョンAPI などのCookieに依存しない計測方法に変える必要があるのです。
コンバージョンAPIのメリット
ここからはコンバージョンAPIのメリットを2つご紹介します。
- Cookieに影響されない
- 広告計測の精度が高まる
それぞれについて見ていきましょう。
メリット① Cookieに影響されない
1番のメリットは、Cookieに頼らずに広告効果の計測ができることです。
Cookie規制による計測漏れなどに影響されず、精度の高い計測ができるでしょう。
「計測漏れでコンバージョンした人がわからず、ターゲティング配信の精度が落ちてしまった……」「機会を損失してしまった……」ということがありません。
以前のCookieのように、広告の費用対効果を出して、効果を最大化させる取り組みが可能です。
ブラウザを経由しないため、接続不具合などの影響を受けにくくなります。
メリット②広告計測の精度が高まる
ECサイトでの購入といったオンラインコンバージョン以外にもオフラインコンバージョンも計測できますよ。
オフラインコンバージョンの例として、ネット上ではなく実店舗で商品を購入することなどが挙げられます。
コンバージョンをネット上と実店舗の両方で計測することで、広告計測の精度が高まりますね。
ひとりひとりの興味関心に合った広告が表示されるようになりますよ。
広告に反応してくれそうな見込み客に接触できるため、広告の効果が最大化されるでしょう。
コンバージョンAPIのデメリット
ここからはコンバージョンAPIのデメリットを2つご紹介します。
- 専門知識が必要
- 社内調整が必要
それぞれについて見ていきましょう。
デメリット①専門知識が必要
自社で開発する場合は、専門知識が必要です。
社内にリソースがあれば、自社で開発する選択肢も検討して良いでしょう。
サポートや設計ができるエンジニアがいると良いです。
適した人材がいない場合は、外部のパートナーや別のツールを検討します。
専門知識が不要な導入方法もありますので、詳しくは後述しますね。
デメリット②社内調整が必要
社内で「コンバージョンAPIに変更しよう!」となったとしても、すぐに導入できるわけではありません。
技術関連の部署をはじめ、その他さまざまな部署との連携や調整が必要です。
たとえば、コンバージョンAPIは顧客情報を広告サーバーに送りますよね。そうなると法務部の確認も必要になります。
社内で承認をもらうまでに時間がかかると想定し、できるだけ早めに取り掛かると良いですね。
導入までに時間がかかることを頭に入れて、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
【Facebook】コンバージョンAPIの導入方法
ここからはFacebookにおけるコンバージョンAPIの導入方法を3つご紹介します。
- 自社で開発する
- パートナー統合を利用する
- Googleタグマネージャーを利用する
それぞれについて見ていきましょう。
方法①自社で開発する
先述したように、自社で開発する方法があります。
自社のサーバーから広告サーバーに直接データを送信する仕組みを自分たちで構築しなければいけません。
メリットとデメリットは以下のとおりです。
- ・すでに自社サーバーがあればその分のコストが抑えられる
- ・あらゆる媒体のコンバージョンAPIに対応しやすい
- ・オフラインのコンバージョンも計測できる
- ・専門知識が必要
- ・コストがかかる
- ・工数がかかる
方法②パートナー統合を利用する
パートナー統合ができるプラットフォームと連携させる方法もあります。
自社で開発するよりも簡単に導入できますよ。
たとえば以下のようなプラットフォームが統合を提供しています。
- ショッピファイ
- ワードプレス
- ベース
- メイクショップ
メリットとデメリットは以下のとおりです。
- ・自社開発と比べると簡単に導入できる
- ・特別な専門知識は必要ない
- ・プラットフォームによって費用や工数が変わるため、選定作業が必要
- ・現時点でFacebookのみに対応
すでに使っているプラットフォームがあれば、パートナー統合を利用すると良いでしょう。
方法③Googleタグマネージャーを利用する
Googleタグマネージャーを利用する方法もあります。
この方法も自社で開発するより簡単に導入できますよ。
事前に以下のツールを使えるようにしておきましょう。
- Googleタグマネージャーのサーバ用コンテナ
- Googleアナリティクス4
メリットとデメリットは以下のとおりです。
- ・自社開発と比べると簡単に導入できる
- ・比較的、他媒体のコンバージョンAPIに対応しやすい
- ・特別な専門知識は必要ない
- ・Google Cloud Platformのサーバー費用がかかる
まとめ
広告効果を最大化するためにはコンバージョンの計測が必要不可欠ですが、これまで計測を担っていたCookieが衰退しています。
Cookieの規制による測定精度の低下が懸念されている中で、新たに注目されているのがコンバージョンAPIです。
コンバージョンAPIを導入すればCookieに依存することなく測定ができますよ。
自社開発で導入する場合は、専門知識が必要になります。
社内に開発ができるエンジニアがいない場合は、パートナー統合やGoogleタグマネージャーを利用すると良いでしょう。
自社開発よりも低コストで簡単に導入ができますよ。
導入に伴う社内調整には時間がかかりますので、余裕を持ったスケジュールを組むと安心ですね。
各ブラウザでサードパーティーCookieの規制が進んでおり、これからさらにCookieが衰退していくことが想定されます。
可能であれば早めにコンバージョンAPIなどの導入を検討すると良いでしょう。