BIツールをよく知らない人へ。基本機能とツールの選び方を解説。

2022/05/11

BIツールは効率的に事業を行う為に重要視されているツールの1つです。

しかし、新社会人や転職したばかりの人達にとっては馴染みのないものでもあります。

この記事ではBIツールの基本知識とメリット・デメリット、BIツールを導入するうえでのポイントを解説します。

BIツールについてよく知らない、導入を検討している人への参考になれば幸いです。

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BIツールの基礎知識

BIツールとはそもそもどういったものなのか、基本的な機能としてどんなことが可能なのか解説します。

BIツールとは

BIツールとは「ビジネスインテリジェンスツール」の略称で、企業に蓄積された膨大なデータを整理・管理して様々な意思決定をサポートするツールのことです。

企業内に蓄積されたデータはビッグデータとも呼ばれ、保管場所が部署によって分かれていることも多く分析しようとすると専門知識を持った人材が必要になる場合があります。

この場合分析にかかる時間が長期にわたる為、実際に活用したいタイミングと合わないことが現場ではしばしばみられます。

このようなケースに対応する為、効率的なデータの蓄積と分析を行いビジネスシーンでの意思決定をサポートするために導入されたものがBIツールです。

データ分析の仕組みと流れ

BIツールは、データ分析を行うにあたって4つのステップを踏みます。

  • データベースに情報を蓄積
  • データレイクで一か所に情報を管理
  • データウェアハウスにて情報を保管、分析しやすいように整理
  • データを自動分析

データベースとは、入力したデータを検索しやすいように整理した状態のものを指します。

ただ単に情報を集めただけでなく目的に応じてすぐに抽出できるように整理することで簡単に情報を探すことができるようになり、業務の自動化も行えます。

データレイクとは、データベースに蓄積されたデータの中から分析の為に必要な情報をまとめたものです。

各分野に分散された情報から分析に必要なデータを抽出し一か所にまとめています。

データウェアハウスとは、データレイクに集められた情報を分析しやすいように整理したものです。

これにより「売り上げデータ」「在庫データ」といったように用途に合わせて分析しやすいように整理されています。

このような流れで分析したい対象として適切なデータを集めて、統計的に関連性の高い結果をグラフなどで表しています。

BIツールの基本機能

基本的な機能は主に4つあります。

  • レポート機能
  • 分析機能
  • データマイニング機能
  • プランニング機能

レポート機能

日々の業務をデータとして管理することで会議などの資料作成や定期的にまとめる業務レポートを作成するのに役立ちます。

レポーティングという定期的に記録した数値を図やグラフで起こす機能を使用すれば、傾向を確認したい時に素早く分析を行うことができます。

分析機能

レポート機能で蓄積されたデータを深く掘り下げる時に使用する機能です。

OLAP分析と呼ばれる複数の事象を分析する機能があり、これを用いて多角的なデータ分析を行い特定の物事の傾向や要因についての考察が行えます。

データマイニング機能

集めたデータから様々な気付きを得るために使用する機能です。

企業が長年蓄積したビッグデータを用いて、まだ着手していない新たな傾向を分析する際に役立ちます。

データマイニングの分析方法は複数あり、データの類似性に基づいて分類するクラスター分析、データ結果と事象の関連性を見つけて結果を予測するロジスティック回帰分析、データから関連性を見つける為に用いられるマーケット・バスケット分析があります。

クラスター分析は購買履歴から顧客を各セグメントに分けたい時に使用します。

ロジスティック回帰分析はDMを送付した顧客の成約率を割り出す際に役立ちます。

マーケット・バスケット分析はある商品と一緒に同時購入される商品を調べてクロスセルを効率的に促す際に必要な分析です。

それぞれ目的の応じて使う場面が異なる為、必要に応じて使い分けることが重要です。

プランニング機能

過去のデータから今後の傾向や結果を予測する機能です。

売り上げや在庫管理のシミュレーションを行い、予算の見積もりを算出する時などに使用されます。

PDCAサイクルと合わせて活用することでさらに高い精度でシミュレーションを行うことができます。

BIツールを使用する目的

現在の市場は昔と変化し、顧客のニーズや行動が多様化され「今市場が求めているもの」を把握することが困難となりました。

そこで企業が長年蓄積したビッグデータを活用し必要な情報を抽出、分析することができるBIツールを使用することで「データに基づいた効率的なビジネス」を目指すようになりました。

BIツールを使用することで膨大なデータの集計にかける作業時間を短縮し的確な分析を行うことで、顧客ニーズの把握や自社の課題の抽出、競合との差別化をはかり利益増大や損益削減といったリスク管理が期待できます。

BIツールのメリット・デメリット

BIツールのメリット・デメリットについて解説します。

メリット

  • 社内のデータを一括で集計・分析ができる
  • 各部署の現状を把握できる
  • 自社の課題を早期に発見することができる
  • 知識が無くても手間をかけずにレポートを作成できる

社内のデータを一括で集計・分析ができる

今まで部署ごとに散在していた社内データを一括で管理することができます。

これによりグラフ等を作成して情報を可視化することができるので改善施策などの判断がしやすくなります。

Excelでは難しかったシステムを跨いだデータ分析も行えるので新たな発見も得られます。

ツールを使用すれば専門知識がなくても精度の高い分析を行えるので、課題の抽出や意思決定のスピードが効率化されます。

各部署の現状を把握できる

抽出した数値をグラフ等でわかりやすくまとめることが可能となります。

これにより売り上げデータの推移も視覚的に把握することができるので、各部署の現状を把握するのに役立ちます。

自社の課題を早期に発見することができる

蓄積したデータを分析することで自社の課題や改善点がクリアになります。

今まで気づくことができなかった問題を認知することができるので、迅速な解決をはかることが可能となります。

知識が無くても手間をかけずにレポートを作成できる

BIツールを使用すれば知識がなくても手順に従って作業するだけで簡単に集計・レポート作成ができます。

自動化されているので手作業で行っている時より格段に速く情報を処理することができ、グラフの作成も容易に行えるので簡単で見やすいレポートを作ることができます。

デメリット

  • 初期設定でつまずき導入が難しい
  • 導入するとランニングコストが発生する
  • 社員の教育が必要

初期設定でつまずき導入が難しい

BIツールの初期設定は、多角的な分析を行う為に「キューブ」と呼ばれる多次元データベースの入力作業が必要です。

これは「売り上げ」という項目の中にさらに「日付」「商品名」「営業担当者」といった複数の項目を入力することでExcelのような列と行の2次元的な情報にさらに奥行となる情報を追加して立体構造のように情報をまとめています。

この作業は非常に煩雑になりがちで、さらに一度作成すると修正・改変する際にも手間がかかります。

ツールも様々な種類があり、失敗しないために何を確認し注意すればいいのかもわかりにくいので、導入する前に挫折したり導入しても社内に定着しなかったりすることがしばしば見られます。

導入するとランニングコストが発生する

BIツールは無料版もありますが多くは容量などに制限があります。

本格的に導入するとなると有料ツールを使用することになる為定期的にコストがかかります。

料金は容量や使用する機能によって変動する為規模が拡大する毎に費用も増大する傾向にあります。

導入前に想定する規模や目的に応じて使用する機能を明確にしておかないと後々になってさらに追加でコストがかかる危険があります。

社員の教育が必要

新たにツールを導入するので業務内容の見直しと作業項目の増大が発生します。

目的を共有し社員の理解を得てから導入しないとただ現場の業務を圧迫して終わってしまう可能性があります。

まずは一部の小さい部署から試験的に導入し、使いづらい点や追加したい機能等をフィードバックして改善することが定着させるために重要です。

BIツールとExcelの違い

BIツールとExcelの目的は企業の意思決定を促すために様々なデータを用いて表やグラフを作成するという点では同じといえます。

Excelの集計や関数機能、グラフ作成機能はバリエーションも豊富で便利ですが、本来の用途は「表計算ソフト」です。

なので、分析まではカバーしきれずExcelのみでは限界があります。

BIツールは企業の様々なデータを分析することに特化しているので自由度が高く多角的な分析が行えます。

これはBIツールが優秀という訳ではなく、使用する目的が違うだけで用途によってはExcelの方が便利な側面もあります。

Excelが向いている場合
  • 単一のグラフ作成
  • データを共有する必要が無い
  • 単純なデータ分析のみ使用する
  • データ数が少ない
  • データを更新する必要性が無い
  • データへのアクセス許可が必要ない
BIツールが向いている場合
  • 複数のデータを統合する必要がある
  • 社内・チームで情報共有する必要がある
  • 多角的な分析が必要
  • データが膨大で手作業では負担が大きい
  • 定期的にデータを更新する必要がありレポートを作成する必要がある
  • データベースに格納し管理する必要がある

どちらが秀でているかではなく、用途に分けて使い分けることが効率化を図る上で重要です。

BIツールの選び方

BIツールはただ導入すれば経営が改善されるという便利なものではありません。

課題や目的に応じて何をしたいのか手段を具体的にして導入することで効果を発揮するものです。

失敗しない為にBIツールを選ぶうえでの判断基準について解説します。

自社の課題が解決できるものか

ツールの機能に自社が改善したい課題に対して有効なものが搭載されていなければ余計なコストのみがかかる可能性があります。

ただ導入すれば実績が出るという単純なものではなく、課題に対して具体的な施策を行う為に必要がどうかを検討する必要があります。

ツールによっては基本機能のうち1つに特化したものもあるので自社にとって一番重要なものは何かを明確にしてから導入すると失敗が少なく済みます。

例えば、経営判断をする上で自社の現状を把握したい場合はレポーティング機能に特化したツールが有効です。

適切なマーケティング戦略を練りたい場合は分析機能やデータマイニング機能が充実しているツールが効果的といえます。

在庫管理や予算編成を重視している場合はプランニング機能に特化したツールが必要になるでしょう。

このように目的に応じて必要になる機能は変わる為、課題や目的に沿ったものを選択することが重要です。

社員にとって使いやすいものか

せっかく自社の課題に合ったツールを導入しても社員にとって使いにくいものや操作が難しいものは定着しません。

だからといってシンプルでわかりやすい機能のツールを導入しても自社の課題に対して十分に対応できる品質のものでない場合も結局定着せずに徒労に終わってしまう可能性があります。

社員にとって使いやすく且つ自社の求める水準を満たしてくれるツールを選択しましょう。

導入実績は豊富か

導入実績が多いものは信頼性が高く、事例が掲載されていれば自社の課題と類似したケースも見つけやすいため参考になります。

まだ導入実績が少ないBIツールは活用実績が少ないゆえに提供している企業も試行錯誤をしている段階である可能性が考えられます。

この場合、サポート体制や問い合わせ窓口が整っていないといったトラブルやアクシデントが伴う危険がある為、初めて導入を検討している場合は導入実績の豊富なツールを選ぶ方がリスク軽減に繋がるでしょう。

コストは予算内か

BIツールは展開する規模や提供形態などで料金に違いがあります。

料金が追加される場合はユーザー数に応じて高くなるのかデータ容量に応じて高くなるのかでまた料金に違いが発生するので、自社の現状を良く把握して判断しないと余計なコストがかかってしまいます。

初期費用を安くしたいのかランニングコストを重視するのか、予算と相談しながら計画的に導入することをおすすめします。

サポート体制は整っているか

導入時や既存のシステムと連携する必要がある時にサポートが整っていないと初期設定で足踏みをする可能性があります。

BIツール自体の導入が初めてで操作全般に慣れていない場合は初期設定から手厚くサポートしてくれるか確認すると挫折することなく導入することができます。

まとめ

BIツールは企業の情報を効率的に整理・分析するのに役立つツールです。

自社の状況を把握することで様々な改善施策を練ることができ、企業の成長に繋がります。

その為に目的を明確にして必要な機能を選択することが重要です。

 

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