ECサイトを運営していく上で解決したい問題の一つに「カゴ落ち」があります。「カートに商品が入るものの、なかなか売り上げにつながらない」「アクセス数はそこそこあるが、成約率が少ない」などの悩みを抱えている方も多いでしょう。
ECサイトの売上を拡大するには、商品の購入率を上げる施策が必要不可欠。しかし、ユーザーが購入手続きの途中に離脱してしまう原因はさまざまです。
そこで、今回の記事ではECサイトのカゴ落ちの原因と対策、および売上拡大の鉄板施策といわれるカゴ落ちメールの送り方に関して解説します。
簡単に実施できる対策も紹介しますので、EC経営に関わっている方はぜひチェックしてください。
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目次
- カゴ落ちとは
- カゴ落ち率の計算方法
- カゴ落ち率の平均値
- カゴ落ちが起こる原因
- カゴ落ちさせないための対策
- カゴ落ちしたユーザーを再誘導するカゴ落ちメールとは
- 効果的なカゴ落ちメールを送るために
- まとめ
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カゴ落ちとは
カゴ落ちとは、ECサイトでカートに商品を入れたものの購入することなく離脱することです。別名「カート放棄」「カート落ち」とも言われています。
コロナ禍の影響でEC事業などWebビジネスの競争が激化し、カゴ落ち率は年々増加しているといいます。
カゴ落ちはECの売上に大きく影響しているため、売上に悩んでいる方は、まずカゴ落ち周りを見直していきましょう。
カゴ落ち率の計算方法
カゴ落ち率は以下の流れで計算します。
- ①期間を決める。
- ②式に当てはめて「カゴ落ちしたユーザー数」を出す。
- ③式に当てはめて「カゴ落ち率」を出す。
具体的な流れをお伝えしていきますね。
まずはどの期間のカゴ落ち率を出したいのか考えましょう。
期間を決めたら、まず設定した期間内の「カゴ落ちしたユーザー数」を出します。
以下の式に当てはめてください。
「カゴ落ちしたユーザー数」が分かったらいよいよ「カゴ落ち率」を出します。
以下の式に当てはめてカゴ落ち率を把握し、今後のカゴ落ち対策の参考にしてみてください。
カゴ落ち率の平均値
世界のカゴ落ち率の平均値は69.57%で、日本国内の平均値も68.2%とほぼ同様です。
平均して約7割がカゴ落ちしていますね。
カゴ落ちはどのECサイトでも発生する可能性があります。カートに入れた7割が売上につながっていないと考えると、損失は大きいです。カゴ落ちの割合を小さくすれば売上向上が期待できますね。
カゴ落ち対策を始める方は、以下の項目を確認してください。
- 自社のECサイトでどのくらいカゴ落ちが起きているのか。
- どのくらい売上に損失を出しているのか。
これらを分析するツールもあります。まずは自社サイトの現状を把握することから始めましょう。
カゴ落ちが起こる原因
カゴ落ちが発生する原因はなんなのでしょう?
一度は興味を持った商品を購入することなくECサイトより離脱してしまうユーザーの心理状態を知ることは、カゴ落ちを改善するきっかけとなります。原因を1つずつ見ていきましょう。
送料や手数料が高い
購入中に合計が分からないシステムでは、予算をオーバーしても最終的な決済段階にいかないとわかりません。予算を超えてしまった場合はカゴ落ちの可能性が高いでしょう。
商品金額を確認の上で、カートに入れて手続きを進めたものの、請求金額の画面で「送料」や「消費税」、「手数料」などが金額に加算され、その追加される金額がユーザーの想定以上に高かったのでサイトから離れてしまうというパターンです。
ECサイトで買い物をするユーザーはコストに対して敏感です。想定以上のコストがかかることがわかると、購入を断念してしまうケースは少なくありません。
購入前のアカウント作成
商品を買い物カゴに入れて、決済前にアカウントの登録を必須にするのもカゴ落ちの原因です。
ECサイトの運営者としては、ユーザーにはアカウント登録をしてもらいたいもの。アカウントさえあれば、会員情報をもとにして、プロ―モーションを行い得意客になってもらえる可能性が大きくなるからです。
しかし、ユーザーは自分の情報をECサイトに入力することに前向きの人ばかりではありません。ユーザーは個人情報を預けることに躊躇する傾向にあったり、敏感であったりします。また、作ったアカウントの管理が面倒になったりもします。
クレジットカード情報を登録したくない
ECサイトでは、クレジットカード決済が圧倒的に利用率の高い決済方法です。
しかし、中にはセキュリティの観点からクレジットカードを登録・入力したくないというユーザーも少なくありません。商品を購入しようと決済画面まで進んだところ、考えていた決済方法がなくクレジットカードを使わざるを得ないとなると、その時点でカゴ落ちしてしまうユーザーもいるでしょう。
また、ECサイトがメンテナンス不足やセキュリティの不備などで不安を与えるような作りになっているとクレジットカード情報の入力を躊躇してしまうでしょう。
サイトがエラーになる・サイトが重い
サイト内でエラーが発生した際、エラーの理由がはっきりしないと離脱につながります。
ECサイトの場合は、購入画面における入力フォームなどが注意を必要とする箇所です。正しく入力しているにも関わらず、わけのわからないエラーが起こると、ユーザーとしてはどうしたら良いのかわからず購入手続きを完了できないためです。
また、サイトのスピードが原因になる場合もあります。読み込みに時間がかかり過ぎてしまうと、それ以上先には進めないと判断したユーザーが離脱してしまいます。たとえ問題自体が発生していなくても、他社のサイトと比べて遅いだけでも離脱してしまいます。
購入完了までの手順が複雑
配達先や連絡先、支払情報などの入力の多さなどがカゴ落ちの原因になることもあります。
たとえば、男女の区別や年齢、勤務先など、入力の必要性が感じられない項目があると、不信や面倒さを感じさせることになります。
入力項目の多さだけではなく、「フォームが見づらい」「よくわからない」「入力しにくい」などの使い勝手の悪さも離脱につながります。
また、エラーの多さが購入を諦めてしまう場合もあります。
全体で何段階から成り立っており、今どの段階なのかが可視化できていないと、いつ入力が完了するのかわからないので離脱率を高める要因になります。
お気に入りの目的でカートに入れた
現段階では購入の意思はないものの、いずれは購入したいと思っているものをお気に入り的な目的でカゴに入れるパターンです。
また、他のECサイトと比べるために一旦カゴに入れておくというユーザーもいます。
このような場合は、マーケティング施策をつかいこなせば、購入につなげられるチャンスです。「お得な情報があれば」「ボーナスが入ったら」など、きっかけさえあれば購入につながる可能性もあります。
すでにアカウント登録が済んでいるユーザーの場合には、フォローメールを送りましょう。アカウントがない場合であっても、Web広告でカートに入っている商品を表示し、再び自社サイトに誘導するという方法もあります。
不安や疑問を解決できなかった
初めて利用するECサイトの場合、商品をカートに入れてはみたものの、送料の明記がなかったり、商品に問題があった場合の返品の可否が分からない場合があります。
また、納期に関して1~3週間などとなっているといつ届くのか不安ですし、商品を利用したい日に間に合わない可能性もあります。
購入までの段階で、この疑問が解決すれば良いのですが、解決しない場合は、購入ボダンを押さずに離脱してしまう場合もあります。
また、個人のECサイトの場合は信頼性に欠けると判断されてしまうと、個人情報やカード情報を入力したくなくなり、離脱してしまうケースもあります。
カゴ落ちさせないための対策
ここまではカゴ落ちの原因に関して解説いたしましたが、ここからはそうした原因を除去しカゴ落ちをさせないための対策に関して解説いたします。
それぞれの対策に関して詳しく見ていきましょう。
送料などの追加費用をできるだけ下げる
追加費用がカゴ落ちの原因の場合は追加費用をなくすことが対策になります。しかし、安い商品の送料をEC事業者が負担するのは厳しいと思います。
完全な対策というものはありませんが、一例としては、特定の商品に限って戦略的に送料をゼロにする方法があります。送料ゼロの商品のみを注文されるリスクはもちろんありますが、ついで買いをしてもらえれば売上アップにつながります。
この施策をとる場合は、送料がかからないという点をしっかりアピールすることが大切です。
会員登録なしで購入できるようにする・会員登録を簡単にする
多くのECサイトでは、会員登録をしなければ購入不可能です。ECサイトの運営者からすると、ユーザーに会員登録をしてもらい、次回の購入につなげたいのです。
しかし、ユーザーからすると、会員登録により、心理的ハードルが高くなり購入意欲が消えてしまいます。
解決方法としては会員登録なしで購入できるようにすることがあります。それが難しいのであれば、会員登録方法を簡易にすることでも対策可能です。
決済サービスを導入し、決済手段を増やす
ユーザーが考えていた決済方法がない場合も、カゴ落ちする可能性があります。
ECサイトのユーザーは、クレジットカードで決済する方が多くいます。しかし、すべてのユーザーがクレジットカード決済を考えているわけではありません。
売上が上位のECサイトでは、クレジットカードをはじめ、コンビニ決済、その他のキャッシュレス決済、商品代引きなど4つ以上の決済サービスを導入しているケースが多いです。なるべく多くの決済方法に対応するのが理想的といえるでしょう。
セキュリティ対策を行い、内容を記載する
サイトに対して不信感を感じるとユーザーは個人情報の入力を躊躇してしまいます。
Web上で安心してお買い物をしてもらうためには、以下の対応が必要です。
- SSL化、常時SSL化に対応する。
- 実施しているセキュリティ対策の内容を見えやすい箇所に記載する。
- 運営会社の情報を記載する。
常時SSL化によってWebサイトのすべてのページが暗号化されます。
SSLに対応していないとGoogle Chromeで「保護されていない通信」と表示されるようです。この表示に不安を感じるユーザーも多いため、常時SSL化に対応しておくといいでしょう。
こうしたセキュリティ対策や運営会社の情報を見えやすい箇所に記載するのも大切です。
サイトのエラーの対処法の表示・サイトスピードの改善
カゴ落ちをなくすにはエラーの原因を明快にし、対処しやすい場面で表示することが大切です。
購入画面では、各段階ごとにリアルタイムでエラーを表示できるようにしましょう。確認画面に進んでから、エラーを認識させ、前の段階に戻って再入力させるとユーザーはストレスを感じてしまいます。
また、ECサイトでは、表示時間が0.5秒長くなるだけで、成約率が7%悪化する場合もあると言われています。Google Page Insughtsなどのツールを利用すれば、サイトのスピードを計測・評価はもちろん、修正点も提案してくれます。
購入フローを簡略化する
ユーザーが購入フローを面倒だと感じてしまった瞬間に離脱されてしまいます。それを防ぐためには、ユーザーの情報入力の負担を極力減らせるように以下のように改善しましょう。
- 購入フローのページ数を減らす(入力フォームをなるべくまとめ、ページをまたがせない)
- 入力しやすいデザインにする
- 個人情報を新たに入力しなくても購入できる決済サービスを利用する
また、購入完了までの段階や現時点を常時表示し「現在どの段階で、あとは何をするのか」を明確にすることも大切です。
購入する気にさせる工夫を施す
カゴ落ち寸前の状態でも、以下のようなユーザーへの対策を講じれば、購入率を向上させることができます。
- 他サイトへ移動する前にメッセージを表示しカゴ落ちを思いとどませる
- 購入方法がわからないユーザーに対して、購入サポートがあることを認識してもらい安心させる
- 他サイトへの移動したユーザーに対して、すぐにWeb広告で買い物カゴに入っている商品を表示させ自社サイトに再度誘導する
FAQの設置・改善
ECサイトの商品や購入方法に関して疑問や不安を感じさせてしまった際に、それらをサイト内で解消できないとユーザーを離脱させる原因となってしまいます。
ユーザーの不安などを解消するためには、FAQの設置および改善が効果的です。
FAQの内容自体を充実させることはもちろん、サイト内のどこにいても見つけやすいフッターなどにFAQへのリンクを配置することも大切です。
購入者が感じることが多い疑問を自然な流れで解消でき、アフターサポートへの移行もスムーズです。
カゴ落ちしたユーザーを再誘導するカゴ落ちメールとは
カゴ落ちメールとは、商品をカートに入れたものの購入することなく離脱したユーザーに対し、再訪問を促すメールです。
カゴ落ちメールと一般的なメルマガを送った場合に結果的に商品の購入につながった割合を比較するとカゴ落ちメールの方が数倍高いというデータも存在します。
効果的なカゴ落ちメールを送るために
カゴ落ち率を防ぐための方法としてのカゴ落ちメールのコツを解説します。
カゴ落ちメールは1対1のメールです。タイミングと内容が非常に大切です。1つずつ見ていきましょう。
メールを送るタイミング
カゴ落ちした理由は、「購買意欲がなくなった」のではなく、「空いている時間にカゴに入れたものの購買まではたどりつけなかった」「他の商品と比較検討している」など、購買意欲はあるものの購入までに至っていないユーザーも一定数います。
そのようなユーザーに関しては、自動配信ツールなどを利用して早めに再アプローチをすると、コンバージョンにつなげることができます。
カゴ落ちメールの配信に効果が期待できるのは3時間後・24時間後・7日後の3回と言われています。
複数回送信する場合は内容を変える
同じような内容のメールを複数回送ってしまうと受け取る側はうんざりしてしまうため、内容を変えて送りましょう。
以下に回数ごとのメール内容をまとめました。
- ①サイト利用を感謝する。
- ②カゴ落ちをお知らせする。
- ③購入を再検討してもらう。
商品を載せる場合は、画像やサイトのURLを記載しておくと親切です。
カゴ落ち商品を何度もおすすめするとしつこい印象を受けます。リマインドメール以降は他の商品を紹介しましょう。
同じ顧客に何度も送信しない
カゴ落ちメールは一般的に3回がちょうどいいと言われています。
何度も送り過ぎるとユーザーに嫌がられてしまうからです。煩わしいと思われれば、メール配信を停止される可能性もあります。
少ない回数で効果的なカゴ落ちメールを送りましょう。
お得な情報を記載する
メールに特典を付けるのも効果的です。可能であれば3回のメールすべてにお得な情報を記載しましょう。
例えば以下のような特典があります。
- ポイント情報
- クーポンプレゼント
- セール情報
- 送料無料特典
「お得に買い物ができる!」と感じるとユーザーの反応はよくなります。できるだけユーザーが喜ぶ特典を盛り込み購入を後押ししましょう。
件名
カゴ落ちメールのタイトルの付け方は大変重要です。メールを受信するユーザーに「誰」からの「どのような」メールなのかを明確に伝えましょう。
この件名1つでメールの開封率やコンバーション率が大きく変わります。
HTMLメールで
カゴ落ちメールをテキストだけで送ると、ユーザーは思い出す手間と、確認のためにメール内のリンクを踏まなくてはなりません。また、テキストのみメールで送ると開いた際のインパクトに欠け、流し読みされてしまう可能性があります。
手間をかけて、HTMLメールを作りカゴ落ちした商品を見せることで、商品の存在を思い出し購買につなげることができるでしょう。
まとめ
カゴ落ち対策と一言で言っても、その方法はさまざまです。まずは自社サイトの課題の洗い出しを行ってみてください。
カゴ落ちの原因によって取るべき対策は変わってきます。適切な対策を講じることでユーザーと事業者の双方にとって有益なECサイト作りを行い売上を伸ばしましょう。