ECサイトの運営で、「カートに商品は入るが、なかなか売れない」や「アクセス数はそこそこあるのに成約率が少ない」などの悩みを抱えている方も多いようです。
ECサイトの売上を上げていくには、購入率を上げる施策が必要不可欠です。
今回は、その施策であるカゴ落ちメールについて説明します。また、カゴ落ちを防ぐための対策も、説明しますので、参考にしてください。
カゴ落ちとは
インターネットショッピングをされた経験をお持ちの方であれば、気になる商品をカートやお気に入りに入れたものの、商品を買わずにサイトを離脱したことがあるのではないでしょうか。
それを「カゴ落ち」といいます。
国内のECサイトで、カゴ落ちの平均率は約68%と高い割合を示しており、ECサイトの事業者にとって、必ず対策すべき要素です。
カゴ落ちはCVRを左右する部分になるので重要な改善ポイントということを認識しておきましょう。
カゴ落ちは平均すると約70%
前項でもお話ししましたが、カゴ落ち率は7割近くに及んでおり、売上の約2.5倍の販売機会を失っています。
つまり、月照1,000万円のECサイトであれば、2,500万円分の見込み売上を損失していることになりますので、非常にもったいないですね。
ショッピングカートに入れたということは、何か原因があって決済まではいきませんでしたが、ユーザーは一度はその商品に興味を持ったということです。
対策をとることでユーザーの興味を再び呼び戻し、カゴ落ちを減らすことができれば、この高額の帰化損失額を売り上げへと押し上げることが可能です。
カゴ落ちメールとは
サイト内でカートに商品を入れたままになっているユーザーに、買い忘れがあることを知らせるメールです。
このメールで、買い忘れに気づき、カートに戻り購入を完了することを後押しできます。
カゴ落ちメールの意味
このメールはカゴ落ちした顧客に対して「カートに商品を入れたことを忘れていませんか?」と告知するメールです。
当然メールですから、原則的にメールアドレスを把握している既存顧客向けに配信します。
カゴ落ちしている中には単に購入手続きを忘れているだけのケースもあります。
購入手続きを忘れているだけの顧客は、商品に興味を持っているので、カートに商品が残ったままなのを思い出せば、購入してくれる可能性が高く、貴重な見込み顧客です。
つまり、カゴ落ちメールはカゴ落ちした顧客に対し「商品をカートに入れたまま購入手続きが終わっていませんよ」とメールを通してお知らせし、購買率を上げるための施策の1つです。
購買意欲を取り戻す
カゴ落ちメールは別名「リマインドメール」ともいいます。
リマインドには「再確認する」などの意味を持ち、忘れてしまった商品を思い出してもらうためのメールともいえるでしょう。
カゴ落ちした顧客の中には、買う気がなくなってしまったのではなく、理由があり、購入できなかった顧客も一定数います。
仕事の休憩中や移動中などの時間が足りずに購入できなかった顧客や他の商品と比較し検討中という顧客もいるのです。
購入を迷っている顧客の後押しになる
他のサイトと比べるためにサイトを離脱したり、買うかを決めかねているユーザーにもカゴ落ちメールは有効です。
このようなユーザーは買おうとする気持ち自体は高いので、カゴ落ちメールが最後の一押しのきっかけになることが重要です。
たとえば、ユーザーが購入を迷っている商品が値下がりした場合などに、お知らせとともにメールを送れば、ユーザーが決断するための大きな後押しになります。
カゴ落ちが発生する原因
実際、なぜ商品をカートに入れたにもかかわらず、サイトから離れてしまうのでしょう?
主な原因としては以下の点が挙げられます。
- 送料や返品をはじめ、商品を購入するにあたり、不明点・不安点がある
- 購入するか決めかねている
- 情報の入力でつまずいている
- 単純にカートに入れて忘れてしまっている
- サイトが重い・エラーが発生する
カゴ落ちメールはこの中で「単純にカートに入れて忘れてしまっている」に対して特に有効です。
有効なカゴ落ちの対策
ECサイトの売上を確保するには、まずはカゴ落ちを少しでも減らすのが大切です。
発生する原因には前項でお話しした点をはじめ、さまざまな点がありますが、ここからは有効な対策について解説します。
思いもよらない追加コストをなくす
気に入った商品がありカートに入れたのに、決済画面まで進んだ際に「思っていた以上に高い」と思われてしまった場合は、買う気は薄れてしまいます。
このような場合の最も簡単な対策としては、誰が見ても分かりやすいようにコストを明示しておくことです。
明示しておく例は以下のような点です。
- ○○円以下の場合には手数料が●●円かかります
- ○○円以上の場合は送料無料です
このような案内を商品をかごに入れる前に、分かる位置へ明示しておきましょう。
購入完了までのフローをシンプルにする
購入する際に、サイトへの会員登録が必要であったり、購入完了までのプロセスが多いと、ユーザーがストレスを感じることがあります。
会員登録に関しては、登録しなくても購入できる選択肢を設けるほか、購入完了までのフローをシンプルにしたり、購入完了に向けて今がどの段階なのかを常時表示させておけば、フローが明確になり、購入完了を後押しできる可能性が高まります。
ユーザーがストレスを感じないようなサイト作りを心がけましょう。
さまざまな決済方法を用意する
近年、クレジットカードのほかにもさまざまな決済方法が増えています。そのため、決済の選択肢が限られていると、決済までに至らない場合もあり得ます。
さまざまな決済方法を準備しておき、スムーズに購入してもらえるようにしておきましょう。
代表的な決済方法には以下のようなものがあります。
- クレジットカード
- コンビニ決済
- Amazon Pay
- Au Pay
- LINE Pay
- 楽天ペイ
- 代金引換
- 後払い決済
エラー発生時に何に対してのエラーなのか分かりやすく明示する
入力フォームの不備やアクセス過多に伴うサーバーダウンなどWebサイトのエラーは多種多様です。エラーに対してどのように対応すればいいのかが分かりやすくないと離脱してしまう可能性が高まります。
エラーが発生したときに「何に対してのエラーなのか」「どのように対応すればいいのか」を目立つ位置に分かりやすく明示することで離脱を防ぎやすくなります。
エラー発生時にユーザーに悩ませないようにしましょう。
会員登録しなくても購入できるようにする
「購入までのフローをシンプルにする」の項目でも軽く触れましたが、運営者としてはサイトに訪問してくれた顧客に会員登録をしてほしい気持ちは分かります。
しかし、顧客サイドからすると、たまたま通りかかったサイトで今後使わない可能性があるサイトに会員登録をするのは、面倒なのは確かです。
そのため、購入時には会員登録を「する」「しない」の選択肢を設けておけば、初回購入のハードルを下げることができます。
登録は慌てずあとでもいいくらいの気持ちで取り組みましょう。
カゴ落ちメールにより期待できる効果
カゴ落ちメールは、売り上げへ結びつくことが大きいことに加え、コストをかけることなくカゴ落ち対策を行えます。
カゴ落ちをしているユーザーは「サイトへ流入し・サイト内を回遊・検討し・カートへ追加」しているのです。
このステップを考えると、これらのユーザーは購入見込みが非常に高いと考えられます。
そのため、カゴ落ちしたユーザーへのメールは通常のメルマガと比較し、「カゴ落ちメール」の効果は通常のメルマガの3倍〜5倍ともいわれており、開封率、クリック率が大幅に向上することで、大きな効果が期待できます。
カゴ落ちメールはタイミングや内容・回数が重要
カゴ落ちメールには、気持ちが動かされる文面とカートへのリンク、カート内のアイテムなどを表示する必要があります。
また、以下の項目については役に立つので実現したいポイントとなります。
有効なタイミング
近年の研究によると、カゴ落ちメールは、早く送るほどに良い結果が得られるという研究結果が出ています。
これは、顧客が商品に対して興味を失う前にアプローチするという考え方によるものです。
とはいえ、あまりに送信のタイミングが早いと、急かされたり、監視されているように感じてしまう可能性があります。
商材にもよりますが、初回のタイミングは、商品をカートに入れた1〜2時間後くらいがいいでしょう。
メールを送る回数や頻度
カゴ落ちメールは1回しか送ってはいけない訳ではありません。2回。3回と送りたいところですが、しつこく送りすぎると逆効果です。
たとえば、カート投入から2時間後、3日後、7日後という風に、最低でも3日以上空けて送信しましょう。
また、回数は3〜4回程度が妥当です。それ以上になってしまうと、しつこく思われてしまいます。
なお、カゴ落ちしている商品があっても、その後に別商品を買っているようであれば、送らない方が良いケースもあります。
有効な件名や内容
メールの内容に関しては、「カゴに入れて、忘れている商品があります」とあくまでもユーザーの目線で購入を助けるために送信する姿勢が重要です。
メール中に商品画像やURLを載せておけば、忘れていたことを思い出しやすくなります。
URLから直接商品のページに飛べれば、ユーザーの手間も省けるでしょう。
また、件名の作成は、非常に大切です。件名によっても開封率やCVRにも影響を与えます。
件名を見たら、メールの内容がわかるようにしましょう。
また、カゴ落ちメールは1度だけではなく何回か送るのが一般的ですが、内容は毎回少しずつ変化させることが肝要です。
テキストメールだけではなく、HTMLメールも使用する
メールをテキストだけで送ると商品がわかりにくいので、商品画像と合わせて色調やイラストを使い送りましょう。
HTMLメールで配信すれば画像を付けられますので、買おうとしてたことを思い出し、高倍率の向上につながります。
カ顧客すべてがカゴ落ちメールを最後まで読んでくれるとは限りません。
カゴ落ちメールはテキストのみで送るのは避け、目から情報が入ってくるようなメールを送りましょう。
カゴ落ちメールの例文
カゴ落ちメールを送るのにあたって、内容に関して頭を悩ませている方もいらっしゃるでしょう。
そのような方のために、ここからはカゴ落ちメールの例文を紹介します。この例文を参考にして挑戦してください。
カートに入れて数時間後の場合
件名:カートに入ったままの商品がございます
本文:〇〇様
いつも【サイト名】をご利用いただきありがとうございます。
カートに品物が入っておりますのでご確認くださいませ。
すでにご購入いただいている商品をお送りさせていただいている場合もございますので
ご了承くださいませ。
【当該商品画像」
【商品価格】
【商品リンク】
【カートを見る】
数時間後のカゴ落ちメールはカゴの中に入っている商品メインで送るのがおすすめです。
カートに入れて数日後の場合
件名:何かお困りの点はございませんか?
本文:〇〇様
いつも【サイト名】をご利用いただきありがとうございます。
カートに品物が入ったままになっておりますが、お買い忘れはございませんか?
購入方法がわからないなどございましたら、購入ガイドをご用意しておりますので以下のリンクからご覧くださいませ。
【購入ガイドリンク】
すでにご購入いただいている商品をお送りさせていただいている場合もございますので
ご了承くださいませ。
【当該商品画像」
【商品価格】
【商品リンク】
〇〇様におすすめの商品
【レコメンド商品画像】
【商品価格】
【商品リンク】
数日後のカゴ落ちメールの場合は、購入率が下がる傾向があるので、おすすめ商品も添えて購入率を高めてみましょう。
まとめ
カゴ落ちメールは、カゴ落ちの有効な施策の一つです。
ユーザーを呼び戻し、購入の後押しを期待できますが、送るタイミングや回数などが不適切だと、逆効果になってしまいますので注意が必要です。
カゴ落ちの原因や対策をしっかり理解した上で、ユーザーの興味を引くようなカゴ落ちメールを送信しましょう。