DMPとは何か?概要や導入ステップ・活用方法を詳しく解説!

2023/09/22

ビジネスシーンで耳にすることが多くなってきた「DMP」という言葉ですが、概要や中身を詳しく説明するとなると難しいと感じる方も多いと思います。

新しい仕掛けや施策を行う際にDMPを知っておくと、新たな視点からのアイデアや切り口をもたらしてくれる可能性があり、有効的に活用する場面が多々あります。

本記事で、DMPに関する知識や活用方法を知り、ビジネスに使える有効手段を備えておきましょう。また、活用事例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

DMPとは?

DMPとは、Data Management Platformの頭文字を並べた単語になります。データマネジメントプラットフォームと言いますが、具体的な概要などを解説します。

プラットフォームの仕組み

DMPは、マーケティングやビジネスシーンにおいて必要な情報を蓄積・管理するプラットフォームのことです。

インターネット上にある様々なサーバーに蓄積されているビッグデータや自社が蓄積してきたデータを一元管理することができます。

DMPを活用することで、ユーザーの訪問履歴やサイトの閲覧履歴、購買情報などを統合し、より具体性をもった顧客像を「可視化」することで様々なマーケティング施策に役立てることができます。

DMPで使用されるデータ

DMPでは各データの種類によって名称が違い、以下のように表されます。

  • 1stパーティデータ
  • 2ndパーティデータ
  • 3rdパーティデータ

1stパーティとは、自社を指します。2ndパーティとは、その他の企業のことを指します。3rdパーティとは、情報収集を専門とする組織のことを指します。
それぞれのパーティが保有するデータの名称のことをこのように呼びます。

DMPの種類

DMPはさらに、「プライベートDMP」と「パブリックDMP」の2つに分類されます。それぞれ役割が違いますので、しっかり理解しましょう。

オープンDMP

「オープンDMP」とは、外部の企業が保持しているデータ(3rdパーティデータ)が蓄積され一元管理されているクラウド型のプラットフォームです。パブリックDMPとも呼ばれます。
さまざまなWebサイト上の行動履歴や個人の属性データなど、自社だけでは把握できない情報を取得できるため、主に新規顧客開拓において有効活用されます。

また、自社データと組み合わせることによって、ターゲットがより精度良く浮き上がりますので、広告配信などにおいても効果を期待できます。

プライベートDMP

「プライベートDMP」とは、自社が収集・蓄積してきたデータ(1stパーティデータ)を一元管理するプラットフォームになります。

オープンDMPと違い、プライベートDMPは情報共有されないという特徴があります。企業独自が保有するお問い合わせ内容や顧客属性情報などが蓄積されているので、言い換えると、自社が持つ貴重な情報資産とも言えます。
既存顧客に対するリピート施策やLTV(顧客生涯価値)の向上に活用することができます。

DMPとDWHとの相違

DMPと似た言葉に「DWH」があります。
DWHは「Data Ware House」と言い、データ保管庫という意味があります。データの整理や保管が主な役割となっており、分析機能も一部ありますがDMPと比べると見劣りしてしまう部分があります。

また、DMPはデータを取り扱いしやすくするためにデータを変換できる機能を持つという違いがあります。つまり、大きくは外部データとして活用しやすいかどうかという違いがあります。
目的が違いますので、そこだけ気を付けるのがポイントです。

DMPのメリット

DMPを活用することによって得られるメリットについて具体的に解説していきます。
大きくは以下、3点においてメリットを得ることができます。

マーケティング施策の効果的なアプローチ

一番のメリットとも言えるのが、効果的な施策に繋げやすいという点です。

DMPで統合されたデータは、さまざまな観点からデータを分析でき、且つしやすくなっています。今までの切り口では見えなかった潜在的なターゲットを浮き彫りにしたり、新たなセグメントに顧客を層別できたりと、今までにない視点をもたらしてくれる可能性が高いです。

そこから得た情報は、精度が高くなっていますので同じ広告配信でもターゲットを確度高く捉え効果をもたらす期待があります。

様々な種類のデータを収集・統合

DMPを、データを収集し保存しておくだけの機能を持つ入れ物、というイメージで捉えてしまいそうですが、本質は自社データと外部データを収集し統合し分析しやすくするという点になります。

DWHとの相違の解説でも言いましたが、ただの箱ではなく、取り扱いやすくするという点に特化しているのでさまざまな角度からデータを確認することができます。

結局はデータはデータなので、どのように活かすか、次のアクションに繋げなければ効果は薄いです。その点DMPから受けるメリットは大きくなります。

処理・作業の効率化

データが分析しやすくなるというのは、効率化にも寄与します。

これまでは、違った視点で確認するとなったらデータを加工する必要がありました。また、企業内に情報が点在しているとなると、それらを集めるのにも時間が掛かってしまいます。

よって、DMPにデータを統合してしまえば確認する手段が一つになり情報の粒度が統一化されます。また、同じデータを見てコミュニケーションが取れるので情報の伝達も高速化されます。

考慮すべきポイント

DMPにはメリットだけではありません。以下2点は気をつけておくべきポイントになりますので、注意が必要です。

セキュリティ

まず、一番はセキュリティになります。

顧客の詳細なデータまで確認することができますので、取り扱いには十分注意しなければなりません。利便性が高い反面、誰にでも使用可能にしてしまうと、情報流出の可能性が一段と高くなってしまいます。

昨今プライバシーの問題は特に企業が細心の注意を払う必要があり、一度問題が起きると社会的な信頼も堕ちかねません。責任範囲・責任者など導入にあたり、しっかりと交通整備する必要があります。

DMP導入への理解

DMPは従来の業務の進め方を大きく変えてしまう可能性があります。

少なからず抵抗感がある人やデータ保守の観点からも導入に後ろ向きな人たちが存在する可能性があります。また、導入するにあたり効果的に活用するためにも一定の教育も必要になります。

活用するにあたり、「誰が使い、どのような効果があり、今までの業務をどう変えていきたいのか」、導入までの道筋を一歩ずつ丁寧に進めるようにしましょう。

アクションプランへの道筋

目的の話が出ましたが、DMPはアクションプランに繋げて初めて価値が生まれます。

ただの分析装置にしないためにも、「効果的な広告配信を打ちたい」、「より確度を持ったターゲッティングメールを送りたい」などの目的をはっきりと共有しましょう。

そして、それに適したDMPの種類を検討して導入する必要があります。そうすることでよりスムーズにアクションプラン構築への道筋が見えてくるでしょう。

導入に向けてのステップ

メリットや注意点を確認した上で、次はDMPを導入するにあたり具体的なステップを解説します。

1.目的の明確化

繰り返しにはなりますが、最初のステップは「目的の明確化」になります。

自社で解決したい課題をブラッシュアップし、確認した上で導入を進めます。ゴールと言い換えてもいいですが、より具体性をもった目的が効果が確認しやすいのでおすすめです。
例えば、KPIとして、メール開封率を30%アップする、サイトアクセス数を20%伸ばすなど、数値を入れることで目に見えて確認できます。

2.適したシステムの種類を選ぶ

目的が決まれば、システムの選定です。
目的に適したシステムが提供するデータはどれがよいのか判断しましょう。また、システムに付随する機能も同様です。そうすることで自ずとプライベートDMPなのかオープンDMPなのか決まります。

上記でも述べたとおり、プライベートDMPは既存顧客へのプロモーション施策に効果的に働き、オープンDMPは新規顧客の開拓に効果的に働きます。

3.ベンダーの選定

システムの種類が決まれば、あとは提供するベンダーを決めます。

より自社に適合した機能を提供するところを比較・検討しましょう。もちろん、導入するためには費用が掛かります。イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも必要になりますので効果と照らし合わせて、吟味する必要があります。
また、保守などにも人件費などが掛かりますので、総合的なコストを計算し予算と相談してベンダーを決めましょう。

DMP活用事例

実際にDMPを活用した事例を紹介します。より具体的なイメージを持って、導入の参考にしてみてください。

KADOKAWA

株式会社KADOKAWAは、書籍などの出版やコンテンツ配信を行う企業です。

自社で運営するWeb媒体がありながら、ユーザー像が把握しきれないという課題を抱えていたので、DMPを導入することにしました。成果としてWebサイトに蓄積されていた大量の顧客データと3rdパーティデータを統合したことで、Web媒体ごとのユーザー像が可視化され、新たな興味関心を深堀りしたことでニーズと商品開発に役立てています。

横浜銀行

横浜銀行は、首都圏に200店舗以上のネットワークを持つ地方銀行です。

インターネットの発達とともにWebサイトやインターネットバンキングを使う人が増え、店舗型コミュニケーションで培ったノウハウをインターネットを使うお客様一人ひとりに合わせたOne to One対応ができていないことに課題を感じていました。
そこでDMPを導入し、Web訪問履歴の回数や流入経路からお客様が求める情報を逆算し、提供するメッセージや広告バナーを変えるなどの施策を打ち出しました。
最終的には、PV数を10%以上伸ばすことに成功しています。

まとめ

DMPは、さまざまなデータを統合し分析しやすくするプラットフォームです。
さらにはプライベートとオープンという2つの種類があり、それぞれ効果的な施策に違いがあることがわかりました。また、メリットが多く感じる一方で注意すべきポイントや導入にあたっての障壁もあります。

正しくDMPへの理解を深め、適したDMPのサービスを選定しベンダーを比較検討した上で、紹介した活用事例のような効果的な施策を打ち出すことができるようになれば幸いです。