Webマーケティング業界において耳にすることのあるCPOですが、具体的な意味や指標の重要性については深く理解できていない場合も多いのではないでしょうか?
CPOは、新規顧客獲得のためにかかった費用を指しますが、他にもCPAやCPRなど似たような指標もあるため、認識があいまいになってしまうことも少なくありません。
そこで本記事では、CPOの基礎的な意味や計算方法を解説したうえで、CPAとCPRとの違いについて解説します。CPOの目標数値の設定方法や、CPOと合わせて利用されることの多い指標についても解説するので、売上目標などを設定する際にも参考にしてみてください。
CPOとは
CPOとは、Cost Per Order(コスト・パー・オーダー)の略で、新規顧客1人に商品を注文してもらうために発生した費用を指します。日本語で「顧客獲得単価」と呼ばれることも多く、広告運用においてよく利用される指標です。
CPOの計算方法
例えば、3,980円の商品を1つ売るためにかかったCPOを考えてみましょう。50万円の広告費で100個の商品が売れたとします。このときのCPOの計算方法は以下のとおりです。
50万円(広告費)÷100個(注文個数)=5,000円(CPO)
CPOが5,000円。つまり、3,980円の商品を販売するために5,000円の広告費用が発生したということです。5,000円-3,980円の計算で1,020円の赤字が発生していることになりますが、CPOの指標がよく利用されるEC通販などでは、リピート顧客を増やすことで初期の赤字を解消します。
はじめからCPOを下げることで、黒字スタートも可能ですが、実際には商品価格よりも広告費用のほうが高くなることも多いため、新規顧客を獲得したあとのアプローチが重要になります。
CPOの重要性
広告を大量に打つことで、多少商品の質が低い商品でも販売個数の増加できると考えられますが、その方法では大きな利益の発生は期待できません。
広告の量で販売数を増やしても、広告費用が販売価格を上回り利益が少なくなってしまうためです。新規顧客獲得時には赤字となるケースが考えられるため、できるだけ安い広告費用で新規顧客を獲得する努力が必要となります。
その際に重要となるのがCPOです。顧客1人が商品を購入するためにかかった費用がわかるため、今後のマーケティング施策を決める上での指標になります。
CPOの目標値の設定方法
CPOの目標設定を行う際は、「限界CPO」を計算する必要があります。限界CPOとは、その価格以上の広告費用がかかると費用対効果が悪くなる限界値のことです。限界CPOを計算するためには以下の2つの計算式を利用します。
LTV(顧客生涯価値)=客単価×利益率×購入回数×取引期間-顧客獲得単価・維持コスト
限界CPO=新規顧客1人のLTV-顧客1人にかかる広告以外の費用
例えば、各数値を次のように設定したとします。「客単価1万円・利益率70%・年12回購入・2年取引・顧客獲得や維持にかかる費用が2年で10万円」。この場合、LTV=1万円×70%×12×2-10万円=6.8万円
顧客1人にかかる広告以外の費用が3万円とすると、限界CPOは以下のように計算されます。
限界CPO=6.8万円-3万円=3.8万円
つまり、CPOを3.8万円になるように出稿すれば黒字が見込めるということです。
目標設定にはLTVの理解も必要
限界CPOを計算するにあたり、LTV(顧客生涯価値)を用いましたが、顧客1人あたりが生涯にわたって企業にもたらす売上を表す指標です。LTVを把握しておくことで企業を黒字にするためのCPOが計算できるため、広告出稿をする際はLTVからの算出が必要と押さえておくと良いでしょう。
CPOとCPA,CPRとの違い
CPOとよく似た指標としてCPAとCPRがあります。混同して理解されることも多いため、ここではCPOとCPA、CPRの違いについて、それぞれ解説します。
CPOとCPAの違い
CPAとは、Cost Per Action/Cost Per Acquisitionの略で、1件のコンバージョン(CV)にあたりかかった費用を指します。コンバージョンとは、商品の購入や資料請求などの申込みを指します。1コンバージョンを発生させるために必要な広告費用がわかるため、広告出稿においても重要な指標になります。
一方でCPOは、1注文あたりにかかる広告費等です。つまり、CPOとCPAの違いは、コンバージョン数と注文数のどちらを用いるかという点です。ただし、コンバージョンが最終的な商品購入を指す場合は、計算式がおなじになるため注意が必要です。
逆に成果地点が、資料請求と商品購入など2箇所ある場合は、別の計算式となります。
CPOとCPRの違い
CPRとは、Cost Per responseの略で、1件のお問い合わせや資料請求を発生させるためにかかった費用を指します。CPOが1注文あたりの広告費用であるのに対し、CPRは一歩手前の段階における指標を利用していると考えると良いでしょう。
つまり、CPAはコンバージョンの定義が幅広くなっており、CPOやCPRは用いる数字が明確に定められているという認識となります。
CPO改善のためにLTVを高める方法
限界CPOを計算するときに、「限界CPO=新規顧客1人のLTV-顧客1人にかかる広告以外の費用」という式を利用しましたが、LTVを高めることで限界CPOも同時に高まります。
つまり、広告費用に当てられる費用の限度が高くなり、利益を出しやすくなるということです。そこでここからはLTVを高める3つの方法について解説します。
購入単価の向上
まず1つ目は、購入単価の向上です。1人あたりの購入金額が高まることで、LTV向上に繋がります。ただし、商品の価格のみを上げると、顧客満足度が下がり購入数が下がってしまうことが考えられます。
そのため、付加価値を付けた上で商品単価の向上をすることが大切です。「原材料にこだわったための商品価格の見直し」「あわせて利用するとより便利になる商品の提案」など、顧客が納得する理由を付けるようにしましょう。
リピート率の改善
リピート率の改善もLTVの改善に繋がります。LTVは顧客1人あたりが生涯のうちにもたらす売上を指すため、リピート率が向上することで購入期間が伸びるためです。
リピート率を上げるには、自社で商品を購入するメリットを顧客に感じてもらうことが大切です。「定期購入をすると割引がつく」「他社よりもポイント還元率が良い」「購入回数が多い人に特別なクーポンが配布される」などの施策が考えられます。
購入回数の増加
購入回数(頻度)を増加させることでLTV向上に繋がります。例えばスマートフォンの買い替え頻度を考えてみると良いでしょう。企業にとっては、4年に一度購入する人よりも、2年に1度、1年に1度購入する人を増やしたほうが売上に繋がるということです。
購入頻度を増やす施策として考えられるのが、「新しいモデルの発売やデザインの一新」です。自身が持つ商品の目新しさが無くなり、時代遅れ感が増すことで、顧客の買い替えをしたいという気持ちが高まります。
CPOを含めた広告の費用対効果を測定するための基準点
最後に広告においてよく利用される指標(KPI)を紹介します。以下に指標と意味をまとめましたので参考にしてください。費用対効果をあらわす指標には以下のようなものがあります。
- CPO(Cost Per Order):1注文あたりに発生する広告費
- CPA(Cost Per Action):1コンバージョン(商品注文や資料請求)あたりに発生する広告費
- CPR(Cost Per Responce):1申込み(お問い合わせや資料請求)あたりに発生する広告費
- CTR(Click Through Rate):広告やページが表示された回数のうちクリックされた割合
- CVR(Conversion Rate):クリック数のうち注文やお問い合わせなどのコンバージョンに至った割合
- CPC(Cost Per Click):広告を1クリックしてもらうために発生する費用
まとめ
CPO(Cost Per Order)とは、商品を1回注文してもらうために必要な広告費を表す指標であり、会社の売上を伸ばす上で重要です。CPOが高くなりすぎると売上を超えて赤字となってしまうことから、限界CPOを計算した上で、広告出稿を行わなければなりません。
また、企業の売上を伸ばすためにはLTVの理解も必須です。本記事ではLTV向上のための施策も紹介しているので、定義や必要性を十分に理解した上で、あわせて確認してみてください。
企業の売上向上には目標数値の共有が重要になるため、各指標の定義や意味を理解して、正しい目標設定をしていきましょう。