OMOとは?小売業界で必須とされるOMOの意味や内容を詳しく解説

2022/12/22

コロナ禍で不景気が続く昨今において、小売業などにおけるマーケティングでは、いまやOMOは必須不可欠な手法です。

本記事では、OMOの言葉の意味やOMOを導入するために必要な内容、そしてOMOの事例をさまざまな分野・ジャンルに分けて紹介していきます。

また、OMOに類似する用語【O2O】や【オムニチャネル】の意味も解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

OMOとは?意味を詳しく解説

OMOは、Online Merges with Offlineの略語で、直訳して【オンラインとオフラインを融合する】という意味になります。

便利で欠かせないネットなどのオンラインと、オフラインである実店舗をOMO手法で融合し、お客様の購買意欲向上をはかり、それによる業績向上を目指すものです。

OMOを具体的に説明すると、携帯(オンライン)で店舗外で注文を済ませて店舗へ行き(オフライン)、レジに並ぶことなくストレスもなく商品を受け取る。このような媒体はすでに、日本でも多くの企業が取り入れている手法になります。

発祥は中国で、元グーグルチャイナCEOである李開復(リ・カイフ)が唱えた概念で、中国はOMO先進国と言われており、デジタル化が進んでいます。

キャッシュレス決済もOMOの手法になりますが、日本で2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%に対し、中国では77.3%とその差はまだまだ歴然です。

ネットなどの普及で便利になった昨今では、実店舗では便利さがなく、ストレスが少しでもかかってしまうと迅速なお客様離れへとつながります。

OMOを導入して、さらなる利便性を求めていくことは、これからの時代において生き残るためにも、業績向上させるためにも必須項目です。

OMOと類似する用語【O2O】【オムニチャネル】とは?

OMOを理解していくうえで、類似する用語に【O2O】と【オムニチャネル】といった用語が存在します。

【O2O】は2000年頃に発祥。【オムニチャネル】は、2011年頃が発祥で、OMO発祥の2017年より、以前から存在したマーケティング用語になります。

そして、双方は内容が違うので間違えないように注意が必要ですが、OMOとはどのような点が違っているのでしょうか。

OMOを理解するためにも、【O2O】【オムニチャネル】の意味をしっかりと理解しましょう。

O2Oとは?意味を詳しく解説

O2OはOnline to Offlineを略した用語で、オンラインからオフラインといった経路は同じですが、OMOとO2Oはどう違うのでしょうか。

O2Oは、オンライン(WEBサイト・インターネット広告・SNSなど)で宣伝して、お客様を実店舗オフラインへ、誘導を促して利便性をはかる企業目線の施策に対し、OMOは双方の融合をはかる、顧客目線の施策です。そこにOMOとO2Oの違いがあるのです。

O2Oの発祥は2000年頃のアメリカで、ECサイトがオンラインを活用し、実店舗オフラインへの誘導をスマホの普及と共におこなったのが始まりと言われています。

O2OとOMOは、目的や趣旨が違ってきますので間違えないように注意が必要です。

オムニチャネルとは?意味を詳しく解説

マーケティングやECについて、携わっていればオムニチャネルといった用語をよく目や耳にします。
オムニチャネルとはどんな意味であり、OMOとの違いはどこにあるのでしょうか。

オムニチャネルとは、英語のオムニ(Omni)と、チャネル(Channel)が合わさって造られた言葉になります。
直訳すると、Omni(全ての・総称)Channel(経路・ルート)といった意味です。

つまり全てのルートを活用して、そのデータを一つにまとめてお客様の購買意欲の向上を目指す手法になります。

OMOはオンラインとオフラインの融合でしたが、オムニチャネルは【全て】ですから、手法を選びません。

  • 実店舗
  • ECサイト
  • アプリ(LINEなど)
  • テレビショッピング・CM
  • 折込チラシ
  • ダイレクトメール
  • コールセンター
  • インターネット広告
  • SNS
  • メールマガジン

全ての手法を、一元管理しようとする試みです。

オムニチャネルは2011年頃の発祥と言われており、こちらもOMOよりも以前から存在する手法になります。

アメリカの大手百貨店が始まりで、実店舗とECサイトの在庫状況を一元化し、来店したお客様にきめ細やかなサービスを行えるように店員にタブレットを配布して接客を行ったのが始まりです。

するとお客様の満足度は向上し、収益の向上につながったとされています。

OMOを導入するために必要な内容を紹介

では、OMOを導入するためにどのような内容が必要なのでしょうか。

結論から申し上げると、以下の通りです。

  • CRMやMA・SFAなどのデータ管理ツール
  • ビジネス経路を複数に増やすマルチチャネル化
  • OMOに対応できるシステムを構築する
  • OMOに関わる知識を持った人材

では順に、紹介します。

CRMやMA・SFAなどのデータ管理ツール

OMOを導入するにあたり、情報通信技術を活用した管理ツールの導入は必須不可欠です。

具体的な手法として、CRMを導入して顧客関係の管理を行い、信頼関係・利便性の向上をはかることなどがあげられます。

それに加えてMA(マーケティング オートメーション)を導入して、マーケティング活動を自動化することも、大変効果的です。

営業支援システムであるSFAの導入もOMO手法に大変効果的ですのでぜひ、検討して営業職員の業務管理や、商談進捗状況管理に検討してみてはいかがでしょうか。

また、上記に述べた管理ツールを活用するためにも大量の情報データと、それをまとめて一元管理することもOMO手法を実践する上で大切になります。

ちなみにCRMについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

ビジネス経路を複数に増やすマルチチャネル化

ビジネス経路を複数に増やすことも、OMOを導入する上で大切です。

理由としては、OMOを効果的に実践するためには多くの顧客データを蓄積していく必要があるからです。

お客様は何かにお金を出す際には、あらゆる経路を使って情報をリサーチします。
たとえば、実店舗・ECサイト・テレビ・チラシ・ダイレクトメール・インターネット・SNSなどです。

このあらゆる複数の経路から、消費者の購買データを構築・分析して、より質の高いサービスの提供を目指していくことは、お客様との信頼関係の構築にもつながります。

上記で述べた、O2Oやオムニチャネルをすでに導入している企業であれば、購買データを取得していると思います。

OMOを導入するのであれば、さらにあらゆる角度からの顧客データの蓄積・分析を進めるマルチチャネル化が必須不可欠です。

OMOに対応できるシステムを構築する

OMO導入には、あらゆる角度からの顧客情報データの蓄積・分析できるマルチチャネル化が大切、と述べましたがつぎは、その顧客情報データを利用できるシステム構築が重要になってきます。

これまでの店舗形態とは違う工夫をこらして、お客様が便利で効率よく、魅力を感じれるようなシステムづくりを目指しましょう。

具体例をあげると、店舗内の商品棚に設置するQRコードなどがあげられます。

QRコードを読み込むとその商品の説明・内容、食材であれば産地や流通経路を確認できるようにすると、お客様への利便性・安心度などが向上するのです。

また、携帯をOMOに対応できるシステム構築を行うことにより、店舗外で携帯などで注文を行い、店舗に行った際に並ばずに商品を受け取るようにすることで、お客様への利便性の向上につなげることが可能です。

ぜひOMO導入の際には、それに対応できるシステムづくりの構築を検討してみてください。

OMOに関わる知識を持った人材

OMO導入の際には、それに関わるさまざまな分野のチャネルに精通した知識を持った人材も必須不可欠な項目です。

PC・携帯はもちろん、アプリやサイトの構築にかかわるWebビジネスの知識とともに、マーケティング能力・営業力や行動力、そしてお客様の立場に立って物事を考えられるような人材は、OMO手法を進めていく際には必ず求められます。

OMOに関わる知識ともなれば多種多様になってきますが、本サイトではECサイトはもちろん、CRMなどお客様のためになるような記事も多数投稿しておりますのでぜひ、ご活用ください。

OMO導入で成功した事例を紹介

実際にOMOを導入して成功した事例は、どのようなものがあるのでしょうか。

本記事では一つの企業の成功事例ではなく、さまざまな分野・ジャンルの成功事例を紹介いたします。

携帯などで注文して店舗で商品を受け取るOMO事例

先程から述べていますが、携帯などで注文して店舗で商品を受け取るOMO事例は非常に効果的です。

実店舗で商品購入の際には、レジで並ぶ必要がありますが、並ぶ人が多い時には購入までに時間がかかって、お客様にはストレスがかかります。

そこでOMOを導入し、店舗外で携帯などを使用して商品購入を済ませて実店舗へ来店していただき、レジで並ぶことなく商品を購入できるシステムを構築すればお客様はストレスがかかりません。

忙しい方はもちろん、さまざまなお客様にとっても便利で、効果的なOMO手法になります。

お客様を想いやる仕組みづくりを行うことで、また選ばれるような良い店舗になるのではないでしょうか。

携帯によるQRコード決済を店舗で活用したOMO事例

携帯を使って、レジでQRコード決済を活用したOMO手法も大変効果的で、お客様にはメリットが多く存在します。

キャッシュレスな手法になるので、お金を持ち歩く手間がありませんし、レジでお金を出す手間が省けますので、支払い時の流れがスムーズになって会計にかかる時間を短縮できます。

また、QRコード決済にクーポン・ポイント還元を導入することにより、現金払いよりもお得に利用できる仕組みづくりを行うと、お客様のリピート率や利便性が向上し、より効果のあるOMO手法にすることが可能です。

さらに、QRコード決済では支払い時の履歴が残るため、お客様のお金のやり繰りの際に、後から確認が可能になるなどのメリットもあり、やはりこちらも利便性を高めることが可能になります。

店舗内でロボットなどによる接客のOMO事例

店舗内で、ロボットなどによる接客も利便性が向上できる効果的なOMO手法になります。
人がやっていた接客サービスを、ロボットや機械が行うのです。

飲食店の事例では、注文はタブレットで行ってロボットが料理を持ってくるなどの手法はすでに導入されています。

回転寿司の店舗でも、新幹線の形をした機械が商品を運びます。すると子どもは大喜びで、お客様の心をつかむのです。

忙しいスタッフを待つことなく好きなタイミングで注文したり、商品説明などをタブレットが対応したりする仕組みを構築することによって、お客様への利便性は向上するので、大変効果的なOMO手法となります。

ECサイトを活用したOMO事例

ECサイトを活用したOMO手法も、お客様には利便性が高く効果的です。

実店舗の商品を、ECサイトでも観覧できるシステムを構築することにより、お客様は携帯などで自宅で商品選びができます。

自宅などで商品を選び、分からない事はスタッフではなくAIが対応し、実店舗へ商品を受け取りに行く。または、アパレル製品の試着予約などECサイトを構築することによって、さらに便利になって顧客満足度は向上するのです。

ぜひとも、実店舗商品とECサイト商品の情報・顧客データの一元化をはかり、より効果的なOMO導入を進めていきましょう。

それらの行為は、お客様への利便性だけではなく、店舗スタッフ側の作業効率化にも関係があり、多くのメリットがあるのではないでしょうか。

OMO導入のメリット・デメリットを紹介

これまでOMOの意味や、それに類似する用語。そして、OMO導入の際に必要な内容やOMO事例を紹介してきましたが、OMOにはどのようなメリットやデメリットが存在するのでしょうか。

OMO導入の、メリット・デメリットは以下の通りです。

OMO導入のメリット

OMOのメリットは、お客様が欲しいタイミングで商品を提供できて、チャンスを逃さずに購買させる意欲を向上させやすい面があります。

理由としては、お客様の購入経歴や観覧経歴などをデータとして管理しているので、そのお客様の興味のありそうな商品の傾向や、関連商品が予測を立てやすいからです。

そのことにより、新たな商品を提案するとお客様はまたリピートして購入しやすい傾向になり、顧客生涯価値とも言われるLTVを高めることが可能になります。

お客様には、利便性があって何度でもリピートしていただける、自分たちの会社のファンになってもらえるようなシステム構築を行うことが、OMOの目的になるのです。

OMO導入のデメリット

OMOのデメリットは、店舗のシステム構築やECサイトなどオンラインのシステム構築を行わなければいけないので、すぐに収益向上が期待出来ません。

また、OMO導入のための顧客データの取得や、そのデータの構築や活用は決して簡単ではなく、専門的な知識も必要とされますし、初期費用や運用コストもかかります。

上記のことから、短期的に業績向上を目指している方にOMOは向いておらず、長期的な目線で物事を見守る必要があるのです。

そして、何度も購入するわけでは無い住宅や、リピート率が少ない人にあげるプレゼント。生活必需品では無い地方のお土産など、OMOには、向いていない商品も存在しますので注意が必要です。

どの業界にも適応しやすいOMO導入は、顧客満足度・業績向上のための重要項目

先ほど、OMOに向いていない業界を少し解説しましたが、その一方でOMOの導入は比較的どの業界でも適応しやすい傾向にあって、モノではなくて形のないものを売るようなサービス業であってもOMO導入は可能になります。

例えば、美容院などのサービス業であればネットで予約を行って美容師を指名したりしてその顧客データを構築し、店舗でカットなどのサービスを受けます。

金融業界でも、OMOを導入してお金を借りたい人が借りたいローンの商品の申請や相談をネットで行います。

市役所や役場などの公社でもOMOを導入して対面業務をネットで行うなど、OMO導入はさまざまな可能性がありますし、これからも新しい形でOMOが広がっていくのではないでしょうか。

少し残念な話をしますが、人よりもシステムの方が正確に大量の情報を記憶出来ますので、OMOを導入して顧客データなどの情報を入力し、人が行っていた業務をシステムが行う方が間違いが起きません。

OMOの導入は、お客様のためでもありますし、スタッフの業務負担・仕事量軽減にもつながってくるのです。

ぜひ、過去の事例がなくとも皆様の業界・分野でのOMOの導入を検討し、考えてみてはいかがでしょうか。

本記事のまとめ

OMOとは、便利で欠かせないネットなどのオンラインと、オフラインである実店舗をOMO手法で融合し、お客様の購買意欲向上をはかり、それによる業績向上を目指すものです。

さらにOMOは顧客目線の施策に対して、O2O・オムニチャネルは企業目線の施策であるといった違いもありました。

そしてOMO導入に必要な内容として、データ管理ツールの導入や、マルチチャネル化・OMO導入に必要なシステム店舗づくりや人材育成。

顧客生涯価値とも言われる、LTVを高めることが可能といったOMOメリットや、初期コストやすぐに収益化が出来ないといった、OMOデメリットを紹介しました。

ぜひ、OMOを導入する際の参考にされて下さい。