CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、直訳すると顧客との関係性管理と言います。
顧客との関係性管理と言われてもピンとこないと思いますが、顧客情報を活用して売上の最大化を狙う1つの方法だと思っていただけたら大丈夫です。
そこで今回はCRMを導入することによって得られるメリットやCRMを最大限活用するための施策、具体例を交えて徹底解説していきます。
・CRMを導入することにどのようなメリットがあるの?
・CRMのメリットを最大限享受するためにはどうすればいいの?
・CRMを実際に導入した具体例を知りたい!
と悩みがある方の参考になれば幸いです。
それでは、CRMのメリットについて様々な目線から紐解いていきます。
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目次
- CRMとは
- CRMのメリットを5つ紹介
- CRMのメリットを受けられる人
- CRM導入のデメリット、注意点は?
- CRMのメリットを最大限に活かす方法3選
- CRM導入の効果は?メリットを活かした具体例を3つ紹介
- まとめ
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CRMとは
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客と良好な関係性を築き続けることを意味します。
企業の規模が大きくなると、顧客の数が増えるため、顧客情報を管理することが求められます。
この管理体制が整っていなければ、特定の顧客に対する情報やノウハウの属人化が起きてしまいます。
この属人化を防ぐために、CRMがあります。
また、似たものにSFAがありますが、SFAは営業活動の効率化を図るものであるのに対し、CRMは顧客との関係性を綿密にし顧客満足度の向上を狙い、良好な関係性を維持します。
それによってリピート率を上げ売上の最大化を図るのがCRMの基本的な考え方になります。
CRMのメリットを5つ紹介
近年様々な企業に導入されているCRM。
よくCRMツールと呼ばれたりしますが、あくまでCRMは目的・考え方でありCRMツールはそれを実現するための手段になります。
では、CRMを導入することによって具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
CRMのメリット①顧客情報の一元管理
従来、顧客情報は営業担当者のPC内・ファイル・デスクの中や担当者の記憶の中に所有されていたのではないでしょうか。会社によっては、手書きの顧客名簿や名刺ファイルに保存されていることもあります。
また、商談フェーズによっては関わる部署が違い、他の担当者が顧客情報を個人所有しているケースも考えられます。
結果的に情報が分散することになりますので、管理が煩雑になりいざ必要な時や確認する際には非効率になってしまいます。情報の精度・新鮮さも不明瞭なことがあり、商談が二度手間になる可能性も否定出来ません。
CRMツールを導入していると、顧客の個人情報や商談フェーズごとの対応履歴が一元管理できます。
誰が、どの顧客に対して、どのようなアクションを取り、どういう結果になり、現状どの段階なのか、すべて網羅することが可能ですので作業が非常に効率的になります。
このプロセスの見える化がCRMツール導入の1つのメリットとなります。
CRMのメリット②関係部署でリアルタイムに共有
商談などに臨む際に、対応経験のある営業担当者や他部署の知見がある担当者に連絡を取り、適切なアプローチを考えるケースがあると思います。
その際にキャビネットやデスクから情報を引っ張り出したり、PC内の膨大なデータから検索するような事態になると、非常に時間が掛かってしまいます。
CRMツールを導入していると、データベース内に顧客の情報が集約化されているので、常に関係部署全員でリアルタイムに情報を共有出来るようになります。
そうすることでコミュニケーションを取る際にも同様のデータを見ながら情報交換することができますので、作業効率も高まります。
また、担当者不在時や繁忙期は中々欲しい情報が得られないときもあるでしょう。そういった際にも集約されたデータベースを確認すればよいので、担当者や関係者の時間を奪うこともないといったメリットがあげられるのです。
CRMのメリット③既存顧客のフォロー
会社が売上を拡大するに当たり、新規顧客の獲得は必ずと言っていいほど優先すべき選択です。ただし、既存の顧客をないがしろにすると顧客は離れていくことになり、会社の土台がやせ細っていくことになるでしょう。マンパワーを投入すると維持は出来るかも知れませんが、人的資源を投入せずなるべく効率的に既存顧客からも売上拡大を狙いたいと考えるところ。
CRMツール上で情報を適宜更新することによって、既存顧客との関係を良好に保つことができます。既存顧客に対し情報の抜け漏れがなく、適切なタイミングで無駄のないフォローアップが可能。
また、フォローやコミュニケーションを継続的に維持しておくと既存顧客から情報を得ることができ、新たな気付きや新規顧客を得ることもあるかもしれません。
作業は最小限かつ効果は最大限にすることができ、かつ機会損失を防ぐことにも繋がりますので、良好な関係性維持は既存顧客を優良顧客に変えてくれる可能性もメリットの1つになり得ます。
CRMのメリット④顧客満足度の向上
CRMツールの導入は、自社だけでなく顧客側もメリットを享受できます。
CRMツールの機能の中には、問い合わせ窓口の設置や顧客とのコミュニケーションツールがあります。こちらに問い合わせや要望を入れると、たとえ担当者が対応不可の場合でも情報は集約され展開されるので、欲しいタイミングで提案を受けれますし、迅速な回答を得ることができます。また、担当者が変更された場合でも情報はデータベースに蓄積されていますので、これまでと同様のサポートをスピーディかつスムーズに受けることができます。
こうした細部まで行き届いた顧客へのサポートが顧客満足度の向上に繋がるわけです。
CRMのメリット⑤事業戦略の組み立て
CRMツールは、自社戦略の仕掛けにおいても大いに役に立ちます。
顧客に支持されるためには、常に顧客のニーズや動向を掴んでいなければいけません。
CRMツールを導入すると、顧客情報の中から個人の属性を掴むことが容易になり、世間のトレンドやターゲット層が明確になります。また、CRMツールはデータごとにグラフを作成する機能もありますので、色々な切り口から分析をすることができます。多岐にわたる分析は、顧客のニーズを的確に捉え、潜在的なニーズまで掘り起こすことができるでしょう。分析し導き出した結果から自社製品・サービスの生産や改良を行うことで、顧客のニーズに訴求し、売上拡大に繋がります。
顧客側からしても「この会社は欲しいもの・サービスを提供してくれる」、「私たちの悩みを解決してくれる」という信頼感や安心感を持つようになりますので、リピーターの獲得や口コミでの拡散効果も期待できるといったメリットがあるのです。
CRMのメリットを受けられる人
ここまでCRMツール導入によるメリットについて解説してきましたが、こちらのメリットをすべて享受できるかどうかは自社の状況や自社の課題意識によるところが大きいでしょう。
オリジナルの方法でうまくやれている会社にとっては不必要でしょうし、導入するにあたって業務プロセスを大きく変える可能性がありますので、もちろんコストやリードタイムも必要になります。
ここで例を挙げるとしたら、マーケティング部門や営業部門を強化したい・業務の効率化を狙いたいと考えている方にはおすすめです。一番ツールのメリットを感じられる部門では無いでしょうか。
こちらの記事にて、おすすめする方を紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらも確認していただけると幸いです。
CRM導入のデメリット、注意点は?
CRMには様々なメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。
このデメリットを理解し、対策をとりましょう。
導入コストがかかってしまう
CRMツールは導入する上で次のようなコストがかかってしまいます。
・システム自体の初期費用やランニングコスト
・システムを運用する上での社員への教育コスト
これらのデメリットを解決する上で、導入する上で得られる効果を洗い出し、かかる費用と比べると良いでしょう。
また多くの製品では無料トライアル版がありますので、得られる効果を洗い出した後に、トライアル版で実際に運用してみるとイメージが膨らみやすいです。
CRMの運用に社員が慣れるまで時間がかかる
CRMは膨大な顧客情報を管理するため、導入後の運用で社員が慣れるまでに時間がかかる場合が多いです。
また、CRMは長期的に良好な関係を築くツールのため、効果を実感しにくい一面もあります。
これらの理由から、効果を実感するまで運用がうまくいかない危険性があります。
このようにならないためにも、ツールを選ぶ際には、運用のしやすさを確認すると良いでしょう。また、マニュアルを作成し、運用フローを明確にする必要もあります。
CRMのメリットを最大限に活かす方法3選
CRMツールの導入には多数のメリットがあり、作業の効率化や顧客満足度の向上、事業戦略への活用など様々な効果を期待できます。
しかし、これらのメリットを最大限享受するためにはいくつか注意しなければならないポイントもありますのでそちらも解説していきます。
CRMメリットを生かす方法①情報は常に更新
冒頭に触れたとおり、CRMツールは手段であって導入しただけで勝手に会社売上を拡大するものではありません。どのように活用するかが鍵になります。
活用するにあたって情報が更新されていないままだと、顧客が持つニーズを掴みきれませんし、分析そのものを間違う可能性があります。間違えたまま意思決定をすると致命的な事態になりかねません。
よって変化点が起きた場合は、すぐに情報を追加しリアルタイムで更新必要があります。
担当者としては目の前の仕事に追われ入力が滞ることもあるでしょうし、後ほどまとめてデータ入力すれば良いと考える事も少なくないように思います。しかしそうすると現実とのギャップが生まれることになります。現代社会では多種多様なニーズが発生し、情報が陳腐化する速度が早く、従来よりもスピーディな意思決定が求められます。
特にマーケティング部門では、日々アクションについて考えていますので、情報の精度と新鮮さは生命線になります。
CRMメリットを生かす方法②顧客情報の分析方法の確立
どのように活用するかが鍵と申し上げましたが、活用するにあたって分析方法の確立が必要です。
担当者ごとの分析方法によって結果が変わってしまうと、どの指標を元に行動すればよいか不明確になります。
様々な機能をもつCRMツールですから、必要な機能から自社が確認したい数字や分析結果をはっきりさせなければ非効率になってしまいます。そのためにも、分析方法を確立しルール化しなければいけません。個人の感覚や経験といった属人的な要素を排除し、データそのものを客観的な視点から判断することで全員が納得できる情報になりうるわけです。
またKPI指標を定めることによって、「ある一定の水準をクリアするとアクションを取る」としておくと、よりスピーディに対応が効きますので、>指標を定めておくとより活用の幅が広がります。
CRMメリットを生かす方法③導入の目的・ルールの周知
CRMツールを導入したことで、かえって現場を混乱させる場合も考えられます。既存の業務プロセスを大きく変える場合も考えられますので、導入にあたってはしっかりと目的とルールを明確化する必要があります。
「CRMツールで何をしたいのか」「なぜCRMツールを導入したのか」など目的をはっきりとすることで、周囲からは理解が得やすくなります。マネジメント層からすると導入によるメリットを最大限受けたいと考えますが、情報を更新するのは一担当者になります。担当者が更新することで本来の効果を発揮できますので、導入にあたっての交通整理は必須になります。
また、入力項目や指標などのデータ入力におけるルールも決めておく必要があります。あまりにも複雑にすると、入力作業に対するモチベーションにも関わって来ますので初めにはっきりとさせておきたいポイントです。運用させながら適宜現場の意見を聞いて、作業の効率化と抽出したいデータを勘案しながら自社に合う適切な設定をしていくのが望ましいと思います。
CRM導入の効果は?メリットを活かした具体例を3つ紹介
ここでは実際に導入してどうなったのか具体例を見ていきましょう。
より身近な例を確認することによって、導入するにあたっての考え方や導入後の結果をイメージできるかと思います。
CRM導入のメリット具体例①製造業A社の場合
A社は、創業50年を誇る産業機器メーカー向けにマグネットの生産・販売を行うBtoB企業になります。
同社は営業の頑張りが売上拡大に結びついてない事態に課題を感じていましたが、分析の方法が確立できておらず原因が不明確なままでした。
また、顧客情報はエクセルで管理をしており会議前の情報更新や資料作成に追われ、十分な準備ができておらず会議も議論の場ではなく報告のみに終始していました。
そこでCRMツールを導入することによって課題解決を図ります。
機能活用で案件が増え、営業担当者のモチベーション改善
CRMツール機能の中のマイルストーン管理機能を活用し、最終的な目標から逆算したリードタイムを作成したことによって、業務プロセスの停滞を防ぐことができるようになります。
また分析機能を活用して、原因の見える化ができるようになったので効果的なアプローチをかけれるようになり、担当者のモチベーションが向上することができました。
機能活用による工数削減
CRMツール導入によって、担当者が得た情報をリアルタイムに更新することを徹底したことで、会議前の入力作業や資料作成にあたっての情報収集に掛かっていた時間の削減に成功します。
情報がすぐ取得できるようになったほか、担当者が急用でも他部門にて顧客ステップがどこまで進んでいるか、新たな気付きや問題が発生してないかをロスなく確認できるようになり作業の効率化にもつながっています。
CRM導入のメリット具体例②食品系商社B社の場合
B社は食の総合商社として、関東圏の飲食店向けにサービスを展開しているBtoB企業になります。
同社は課題として、各営業所のアプローチが独自の手法を取っており、営業担当者の属人的な経験やノウハウによって業務をしておりました。そのため営業担当者のレベルにバラツキがあり顧客へのサービスの差異が発生していることを懸念していました。商品力を武器に販売目標はクリアしていましたが、今後起こるであろう市場の変化に商品力だけでなく組織としても対応していかなければならないと思い、営業所間のシナジーを高めるためにCRMツールを導入することとなります。
マップ機能の活用による見込み客の見える化
CRMツールのマップ機能を活用し、既存の顧客の位置情報をマップに登録することで、まだ登録されていない飲食店(=見込み客)をその場で見える化することができました。
そうすることで、すぐにアプローチをかけることができ、その場で商談内容をデータベースに反映することができ、結果をすぐ確認することができるようになりました。
また、営業所にもどり日報を書くという作業や報告といった業務もなくなりCRMツールで完結するような業務プロセスになっています。
イベント後の素早いアクションによる関係性構築
B社は毎年イベントを開催し、展示会の来場者から見込み客を発掘し顧客獲得に繋げていました。しかし、見込み客の情報を収集しまとめるまでに3週間ほど掛かってしまっていたので、その頃にはB社に対する興味も薄れ、イベントの効果を実感できていませんでした。
そこでCRMツールを導入することによって、今までの情報の蓄積を図り、イベント当日においても見込み客からの情報をすぐデータベースに入力したことで、朝出会った見込み客に夕方商談を掛けるといったスピード感あるアプローチをすることができました。また集めたデータも1週間でまとめてリスト化できるようになり、各営業担当者に横展開したことで興味が冷めないまま見込み客へアプローチすることができるようになりました。3ヶ月以内にはリスト内の顧客全てに商談を仕掛け、成約率は80%増、売上は30%増と成果を伸ばすことに成功しています。
CRM導入のメリット具体例③食品販売・宅配事業C社の場合
C社は食品販売・宅配事業として消費者に出来上がりの商品を提供しているBtoC企業になります。
同社はアプリやメルマガを活用し、集客を行い消費者へサービスを提供していました。しかし会員登録者の半数がメルマガの配信を許可しておらず、メルマガの開封率は10%未満に留まっていました。
また、メルマガ用のメール作成においては1通に3時間程かかり集客に掛ける工数と効果とのギャップに悩んでいました。
データ分析によるアプローチの変更
CRMツールを導入し、アプリやメルマガの集客データを分析してみると、力を入れていたメルマガによる集客よりもアプリからの集客が多いことが判明しました。それにより、アプリからのプッシュ通知による消費者へのアプローチにより注文数が1.4倍に増え、売上向上につながりました。
メール作成工数減少によるPDCAサイクルの高速化
時間が掛かっていたメール作成も、ツールの導入により3時間から1時間に減少し手間を大幅に減らすことができるようになりました。また、どのようなメール内容が消費者心理に刺さるのかを蓄積しすぐに改善につなげることができるようになったので、次のアクションが高速化しました。
PDCAの高速化により、これまであまり効果が感じられず成長の見込みが無かったメルマガからの売上が増えるようになりました。
まとめ
今回はCRMツール導入によるメリットにどのようなものがあるのか、メリットを最大限に活かす方法、CRMツール導入の具体例について徹底解説してまいりました。
CRMは今後会社の成長における重要性が高まっていくことが考えれます。またSFAとの違いが曖昧になり「CRMとSFAが共存したツール・システム」も生まれています。
今後の変化に対応するためにもCRMの定義をしっかり理解し、適切な導入を図ることによって、メリットを最大限活用することができるでしょう。
現在導入中の会社においては、しっかり目的を明確にしルールを定め、ただの顧客情報管理リストになってしまわないことを願っています。
事例のようにしっかりと自社の課題を認識し、導入したことによって成功した会社も数多くあります。
解説した内容が、CRMツール導入にあたり少しでも悩みに応えることができたなら幸いです。