価値観が多様化した現代において、カスタマーにどのように購買行動を取ってもらうかは会社において非常に重要な課題となっています。
行動に結びつく為の手段として、1つは年々重要性が高まっているWeb広告があげられるでしょう。
一昔前は新聞やチラシなどの紙媒体による広告が主流でしたが、スマホやPCを1人1台持つ時代になった今、Web広告には多大な影響力があります。その反面情報量が多く垂れ流しになっており、中々ダイレクトに伝わらず費用対効果を十分に感じられない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような状況の中、購買情報などのCRMデータを活用した広告が期待されています。今回はCRMを広告で活用する方法やメリット、始め方を徹底解説していきます。
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CRMとは
CRMとは企業が顧客との関係を管理するシステムやツールのことです。企業と顧客はメルマガやECサイト、コールセンターなどさまざまな接点をもっています。
CRMを使うと基本的な顧客情報から開封したメールや商品の購入履歴、問い合わせ履歴などが把握できるため、顧客のニーズに的確に応えられる施策を展開できるのです。
顧客のニーズに合わせた施策を行うことで顧客満足度を向上させれば、企業のファンになってもらえ長期的な利益が見込めます。企業が顧客に自社のサービスや商品、対応により満足してもらうために欠かせないのがCRMです。
CRM施策とは
CRM施策とはCRMツールから得た情報を集約、分析して顧客にあった商品やサービスを提供し、企業が顧客と良好な関係性を築くことです。たとえば、ポイントカードをからの「いつ」「どこで」「何を購入したか」という情報を蓄積すれば、一人ひとりの顧客にあったおすすめの商品やセール情報をDMで伝えられます。
顧客は有益な情報が得られ、企業は売上につながるため双方にとってメリットがあり、良好な関係性が築けるのです。
CRMを使った「アドレサブル広告」とは
アドレサブル広告とは「Address(アドレス)」を形容詞化したもので、意味は「アドレスで呼び寄せる」つまり「特定の個人宛の広告」の事です。
会社のCRMデータ(顧客情報)を元に、よりユーザーファーストの広告を打ち出す手法のことです。
アドレサブル広告が持つ強みとしては、自社のCRMデータを元としている点です。特定の調査機関が発表した情報ではなく、積み重ねた自社の顧客情報をベースに集客を行えますので、無駄がなく狙いたいターゲットに適切なアプローチを仕掛けることが出来ます。効率的かつ費用対効果の改善につながるアドレサブル広告は今後の主役となる存在です。
CRMを広告でつかうと出来ること
では、実際にCRMを広告で使用すると何が出来るようになるのか?3つにまとめましたので、見ていきましょう。
休眠顧客への再アプローチ
集客データを休眠顧客とすることで、ターゲットを休眠顧客のみに設定できます。
新規のサービス・商品を広告に打ち出すことで休眠顧客の購入意欲を刺激し、購買活動の再稼働を促す手段として活用することが可能です。
休眠顧客に絞ったお得なキャンペーンや新商品の宣伝などは特に効果的なアプローチ手段と言えるでしょう。また、過去に休眠顧客に再アプローチした実績があれば、もう一度そのデータを活用し既存顧客が休眠顧客へ変わる要因やタイミングに先んじて対策を打つことができるようになります。
既存顧客へのリピート・関連商品の購入促進
既存顧客へは、継続的に購入している商品のライフサイクルに合わせた広告を打ち出すことで、抜け漏れなく効果的に購入を後押し出来ます。
また、グレードの高い商品を関連商品として紐付けて購入を促すアップセルや関連商品やシリーズ商品を紐付けて購入を促すクロスセルなどの提案は、購入単価アップに繋がります。
新規顧客へのプロモーション
既存顧客と似た傾向や特性を持つ新規顧客をリスト化することによって、新たなターゲット層に対し効率的に広告を打ち出すことが可能です。
顧客データから優良顧客になる可能性の高い属性を特定し、グループに合わせた広告は無駄がなく余計な費用も掛ける必要がなくなります。
CRMを広告で使うメリット
では、CRMを広告で使用することによってどのようなメリットがあるのでしょうか?
現状把握の促進
1つ目のメリットに「現状把握」があります。
近年における情報過多の時代において、情報の陳腐化は従来より速く顧客の好みや特性の移り変わりも早くなっています。
情報の鮮度は新鮮であればあるほど価値があります。個人のデータの中やデスク・キャビネットに保存したままでは、管理が煩雑になりアクセスしたいときに無駄な作業が発生してしまいます。
CRMを活用すると情報は一元化されデータベースにアクセスするとすぐ取り出せる状態になっていますので、効率的に作業することが出来るでしょう。また、関係者間での共有も容易になりますので事前準備に時間を掛ける必要がなく、現状把握した状態から次へのアクションに繋がりやすくなります。
広告の費用対効果の精度向上
2つめのメリットに「精度向上」があります。
不特定多数に打ち出した広告は様々な要因が絡み結果として現れます。一つ一つの要因を棚卸しする作業は非効率であり、再現することが難しくなります。
CRMを活用すれば、特定のターゲットを絞ることが出来ますので、狙いたい層に対して打ち出した広告がどのような結果だったのか効果の確認が容易になります。また、過去の実績を元に効果が高かった方法やターゲットを分析することでより成約率が高いターゲットを掘り起こすことが出来ますし、施策をブラッシュアップすることが出来ます。
データの分析作業においても、手間暇がかからない分費用削減に繋がりますので、さらなる効果の拡大にも期待できるでしょう。
独自の広告配信
3つめのメリットに「差別化」があります。
冒頭に述べたとおり、CRMを活用した広告は自社のCRMデータを使用するので、オリジナリティのある広告の配信が可能です。
他社と差別化された広告はその会社だけが持つ「価値」になります。
競合他社と同じような広告やキャンペーンを仕掛けても真新しさがなく、競争が激化し消耗する可能性があります。また魅力的な商品を持っていたとしても、伝えたいターゲットに届かないとミスマッチになってしまい、機会損失になります。CRMを活用し自社の顧客データ分析から掘り起こしたターゲットは他社との差別化が図れますので、広告1つで売上が大きく変動する可能性があります。
他社と差別化ができる
CRMを活用してアドレサブル広告やDMPと連携させた広告配信ができれば、顧客の属性や行動に適切な訴求が可能です。
顧客も「みんなに」ではなく「自分に向けた広告」を受け取れば、他社とは違った魅力を感じてくれます。
競合他社と似たような広告では、商品の魅力が表に出てこないで顧客の目に触れにくくなってしまいます。
このような販売機会損失や競争によるコストの拡大を防ぐためにも他社との差別化は大切です。
CRMを使った広告運用を始める方法
ここまで、CRMを活用した場合に出来ること・メリットをお伝えしてきました。では、始めるにあたってどのような方法から始めるのかステップごとに解説します。
目的・目標の設定
CRMは目的であって、CRMシステム・ツールはそれを実現するための手段です。
どのようなツールを使ってなにを実現したいのかという目的・目標がしっかり定まってないと自社に合ったツールを選ぶことが難しく、かえって現場を混乱させることになります。
広告運用にあたっては自社の課題を洗い出し、現状このような課題があるのでこのようなターゲットに効果的に広告を打ち出したい、広告費が高騰しかつ効果が出ているのかイマイチ把握できていないのでCRMツールを使って効率的に作業したいなどの悩み(課題)によって選定するCRMツールは異なるはずです。
自社の目指す姿は何か、しっかり深堀りし関係者間で納得した上でCRMツールの選定をしましょう。
データの優先順位付け
CRMを広告に活用する上で、どのデータを見えるようにし次のアクションに繋げていくかを決めておくことも重要です。
CRMツールは導入しただけで効果を発揮するわけではありません。データを集約し、売上が少ない月を確認するだけで次のアクションにつながらない、または効果的なアクションが出来ないということがあるかと思います。それはCRMツールを使い切れていない原因かも知れません。
どのデータを重要視するのか、どのような数字を可視化したいのか、データの優先順位を明確にしておかないと意思決定がスムーズに出来ません。
CRMツールには機能が豊富にあり多種多様な運用が出来ますので、可視化したいデータ・取り込みたいデータを明確にしておきましょう。
運用ルール・体制の確立
CRMを活用した広告配信をするにあたり、運用ルールや効率的に作業を行える体制を確立しておくことも重要です。
ツール・システムの管理はどこの部署なのか、システムの保守は誰が行うのか、データの品質はどのように保つのか、情報はどのタイミングで蓄積しリアルタイムに更新するのか。運用するにあたり部署間の協力を事前に取り付けないといけません。自部署内で完結するというのならそのようなCRMツールを選定しなければなりませんし、全社的に取り組むのであれば現場に定着させるための推進部署・担当者が必要です。
運用ルール・体制の確立に合わせて責任者の選定をしておくことで、余計な混乱や軋轢をなくしスムーズに始めることが出来るでしょう。
まとめ
今回は、CRMを広告で活用する方法について解説をしました。
プロモーションやアプローチの仕方は会社によって十人十色です。今回の記事を活用し、自社にあったやり方でCRMを有効的に広告配信に活用していただけたら幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。