CRMマーケティングは、マーケティング活動や営業活動において重要な手段です。顧客を理解することで適切なアプローチを行い、信頼関係を結べば利益拡大につながります。
ただ、言葉は知っていても内容やメリットについてあまり分からないという方もいるのではないでしょうか?そこで今回は、CRMマーケティングについて徹底解説していきます。
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目次
- CRMマーケティングとは
- CRMマーケティングが必要な理由
- CRMマーケティングのメリット
- CRMマーケティングの具体的な分析施策
- CRMマーケティングの成功事例3選
- CRMマーケティング戦略策定のポイント
- まとめ
大別して、2つの選択肢があります。
①これから入ってくる顧客の顧客育成
②現在保有している顧客の再活性
①については、今後流入する顧客すべてに効果を発揮するものとなり、長期的にインパクトを生み出す施策といえます。
一方、②については、一定数顧客を保有している場合短期的にインパクトを生み出す施策となります。
②について、多くの企業において最もボリュームの多い顧客が“休眠顧客”ではないかと思います。
本WPでは、その休眠顧客を活性化させる最も効果的な施策を具体的な事例をもとにご紹介いたします。ダウンロードはこちら
CRMマーケティングとは
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で「顧客関係管理」と訳されます。
顧客と信頼関係を結び、顧客満足度を向上させ利益拡大につなげることが目的です。
それを実現させるのが「CRMツール」であり、マーケティングの分野でツールを使用し効果的なプロモーションなどを行うことを「CRMマーケティング」と言います。
たとえば、セレクトショップで好みの服を購入した際に、同時に会員登録します。後日クーポンが配布されたり自分の誕生日にお祝いのメールが届いたり、日々メールマガジンが配信されたりすることがあるかと思いますが、これらがCRMマーケティングの1つになります。
CRMとMA(マーケティングオートメーション)の違い
CRMは顧客をターゲットにし優良顧客やファンを育成するための施策を行うのに対し、MAは見込み客にアプローチし顧客になってもらう目的があります。
MAには見込み顧客の獲得、管理、育成やデータ分析などの機能があり、MAツールを導入するとマーケティングを自動化できるため、コストや時間、労力を減らせ業務の効率化が行えます。
たとえば、MAのスコアリング機能を使えば、見込み客がどのくらい自社に興味をもっているか点数化することで一人ひとりに合った内容のメールを配信し、効率的な新規顧客の獲得が可能です。
CRMとMAは連携することでより多くの利益につながるため、セットで活用されることが多いです。
CRMマーケティングが必要な理由
現代社会において顧客の価値観は多様化し、ニーズは複雑化しています。
複雑化されたニーズを把握するためには、顧客情報をデータとしてCRMツールに蓄積し、分析・活用することが必要です。
集めた情報から顧客に訴求した商品やサービスを開発・改良すれば顧客満足度を向上させられ利益につながります。また、IT技術の発達により個人の受け取る情報量の増加と取捨選択スピードが上がっています。
世の中の移り変わりやトレンドの移行スピードも上がっていますので、顧客の趣向や購買行動心理の情報は重要視されています。利益を最大化し競争から生き残るためにもCRMマーケティングの必要性が高まっています。
CRMマーケティングのメリット
CRMの必要性が分かったところで、CRMをマーケティングに活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
3つのポイントで解説していきます。
新規顧客獲得だけに頼らない
1つ目のメリットは、新規顧客獲得だけに頼らない施策が出来ることです。
従来はテレアポや飛び込み営業、大体的な広告配信などの手段を使い、新規顧客獲得にリソースを割り振ることが多いでしょう。しかし昨今はニーズの複雑化から今までのやり方が難しくなっています。また新規顧客を獲得できたとしてもリピート購入につながらないと安定的な利益確保は望めません。
しかしCRMマーケティングでは、既存顧客との関係性の強化を図ることで、関連商品・サービスの購入などのクロスセルやより高価な商品・サービスの購入などのアップセルへと購入行動を拡大させることが出来ます。その結果、顧客満足度が向上することで既存顧客からの安定的な利益をリソースとし、新規顧客開拓に取り組むことが可能になります。
リソースの再分配
2つ目のメリットは、リソースを最適に分配することが出来ることです。
CRMツールによる顧客情報の分析は、顧客の特性や属性を可視化します。可視化すると顧客ニーズを掘り起こせるので、従来より消費者心理やトレンドへの理解が深まります。
「このターゲットにはこのラインナップなら取り込める」、「このターゲットにはキャンペーンが必要」など、分析結果を元にした最適なマーケティングを行うことが出来ます。
よってリソースを的確に振り分けることが可能になるので、従来よりコスト削減や費用対効果の向上が図れます。同時にリスク回避にも繋がりますので、意思決定のスピードが高まることも期待できるでしょう。
業務効率化
3つ目のメリットは、業務プロセスの効率化に期待が出来ることです。
CRMツールを介し、マーケティング部門や営業部門などの連携を強化できると、業務効率化に繋がります。基本的にマーケティングは実行部隊と戦略部隊に分けられると思いますが、組織ごとに情報を囲んでしまうと二度手間になってしまいます。
また、情報が個人のデスクや部署のキャビネットなどに存在してしまうと管理が煩雑で、いざ必要なときに取り出すのも一苦労です。
CRMツールのデータベース機能を用い顧客情報の一元化をすることで、関係部門がリアルタイムで情報共有・取り出しが即座に可能になります。
CRMマーケティングの具体的な分析施策
CRMのマーケティングをお伝えしたところで、どのようにマーケティングを進めていけばよいのかと疑問に持つと思います。
ここでは3ステップにわたって具体的に解説していきます。
顧客情報の獲得
まず1つ目に顧客情報を獲得するところから始めましょう。
顧客に直接聞き込んだり、アンケートを作成し書いてもらう方法もありますが、非効率であまり労力に見合わない可能性が高いです。
近年はIT技術の発達により1人1台スマートフォンやPCを持つ時代ですので、IT技術を用いた集約方法が効果的です。
BtoCの会社であれば、インスタグラムやTwitterなどのSNSを間口に獲得したり、POSシステム(レジ)から顧客属性を蓄積することが可能です。
BtoBの会社であれば、名刺や企業サイトだけでなくCRMツール機能の1つであるメール配信機能などを活用すると効率的に情報を集めることが出来ます。
顧客情報の分析
2つ目に集めた顧客情報を分析しましょう。
獲得した情報は属性・特性ごとに可視化し、ターゲットの層別が可能になります。
例えばパーソナリティ変数で言うと、年齢・性別・職業・年収・家族構成などが構成要素になります。
心理的変数で言うと、価値観や趣味・ライフスタイルなどが構成要素になります。
行動的変数で言うと、商品・サービスの利用頻度や購入頻度、購入回数などが構成要素になります。
あくまで上記に上げたのは例にはなりますが、細かく構成要素を分けグループ化するとターゲット層の解像度が上がるでしょう。
特に心理的属性については、複雑化するニーズの掘り起こしに有効的と言えますので、優先順位が高い構成要素になります。
グループ化の方法については、別の記事に詳細を解説していますのでこちらもご覧下さい。
マーケティングの施策検討・アクション
3つ目はアクションになります。
分析した結果を元に、目標とするゴールを設定しターゲット層と商品・サービスをどのようにプロモーションを仕掛けるのか。イベントの開催・キャンペーンの告知・メールマガジンの配信・動画コンテンツ配信など様々な手段があるかと思います。
自社がもつ強みを生かしたプロモーションと合わされば効果はより高まるでしょうし、新たなプロモーションを生み出すことはその会社にとっての「価値」になります。
また、マーケティングだけでなく商品開発やサービスの改善などの開発・設計段階にも活用することが出来ますので、PDCAを高速化するためにもアクションを仕掛けていきましょう。
CRMマーケティングの成功事例3選
実際にCRMをマーケティングに活用して結果はどうだったのか。
成功事例を3つご紹介します。
雑貨やアパレルを取り扱うA社
1つ目に紹介するのは、顧客向けに生活雑貨や服などを提供し国内外から数多くの商品を取り扱っているA社です。
こちらの会社の課題は、ECサイトから獲得した顧客情報の管理や顧客向けのプロモーションが出来ていない点でした。
また電話による応対にも課題があり、対応履歴が蓄積されていない状態だったので対応が2度手間になり顧客満足度が低い状態でした。
そこでA社は改善策としてCRMツールを導入します。「購買情報の管理」と「顧客への対応履歴の管理」機能を導入し顧客情報を一元管理出来る体制を整えたのです。そうしたことで顧客情報を理解した状態での対応が可能となり、今までよりスピーディーに要望に答えられるようになった結果、生産性が向上します。
また、CRMツールの機能の1つである「関連商品表示機能」を活用したことで顧客一人ひとりに合った商品をリコメンド出来るようになった結果、顧客単価が従来より3~4倍に増加することに成功しました。
IT事業を展開するB社
2つ目は、クラウドネットワークサービスやIoTなどを展開するIT企業のB社です。
こちらの会社の課題は、営業活動の不透明化でした。顧客からの問い合わせが合った際に、どのような経緯からの問い合わせなのかどのプロモーションからの集客からなのか不明確な状態だったのです。
そこでCRMツールを導入して改善を図ります。
流入情報を管理するための問い合わせフォームをCRMツール機能を使い作成し、事業間で顧客情報を統合するためにデータベース化を施行。また、顧客情報を元にしたメール配信機能を活用して良好なコミュニケーションを図るようにしました。
その結果、顧客の行動履歴・流入先情報が見える化され、適切な商品を提案できるようになりました。更には部署間の連携が強くなり、効率的に営業活動が行えるようになり見込み客も2倍以上に増加することに成功しました。
ヘルスケア商品を展開するC社
3つ目は、美容関連商品やヘルスケア商品をインターネットで販売していたC社です。
顧客へ定期的にメルマガを配信していましたが、開封率が低いことが課題としてありました。
そこで改善のためにCRMツールを活用し、顧客情報に適合させた内容のメルマガを配信することで改善を図ります。
その結果、顧客にとって有益な情報を配信することが出来ましたので開封率が増加します。また、今まで手作業で行っていたメルマガ配信ですが、CRM機能の「配信自動化」を活用したことで担当者の負荷が減り効率的に業務を行えるようになりました。
CRMマーケティング戦略策定のポイント
CRMマーケティングは闇雲に行っても期待していたほどの効果は得られません。ここでは、CRMマーケティングの戦略を策定する際のポイントについて解説します。
目標設定
CRMマーケティングでの戦略策定ポイントの1つ目は目標設定です。
何をするにしても目標を設定することは重要ですが、CRMマーケティング戦略においても同様です。目標を設定せずに施策をスタートしても途中で行動基準がブレて、さまざまな問題が発生してしまいます。
これらの問題を回避するために、「達成したいことはなにか」「そのためにはCRMをどのように活用するのか」といったゴールを設定することが重要です。
CRMマーケティング戦略の目的・目標は利益向上であることがほとんどですが、利益向上までの過程は企業や製品・サービスのジャンルなどによって異なります。
KPIの決定
続いてのポイントは「KPIの決定」です。
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略で日本語に訳すと「重要業績評価指標」となります。KPIはさまざまな目標を達成する上で、達成度を測る時に使われる数値指標で、施策内容のブラッシュアップに有効です。
主なKPI設定の例は以下のとおりです。
- ・受注金額
- ・顧客数
- ・顧客単価
- ・リードタイム
- ・継続率
売上データや購買履歴などを分析し、具体的な数値目標を設定しましょう。
まとめ
CRMマーケティングについて、メリット・始め方・成功事例をご紹介してきました。
CRMをマーケティングに活用すると、顧客情報の一元化、ニーズの掘り起こし、見込み者の可視化、既存顧客の優良顧客化などにつなげることが出来ます。また、組織間の連携強化、業務効率化など副産物的に効果が期待されるものもあります。
しかし、導入にあたっては自社の課題を明確にし運用ルールや組織体制を構築しないと運用が滞る可能性があります。分析方法も多数あり、指標を明確にすることも重要になります。
CRMツールの導入にあたり、自社の事業に適した機能を選定する際にはこの記事を参考にしていただけると幸いです。